中小企業が抱えるサイバー攻撃の脅威
近年、サイバー攻撃は急速に巧妙化し、企業や国家に多大な影響を与えています。こうした背景から、日本政府は能動的サイバー防御の導入に向けた検討を進めており、紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI)が実施したオンライン調査の結果が注目を集めています。
調査の概要
KSIは、2023年12月9日に全国の18歳以上の男女1000人を対象に、サイバー防御に関する知識や意見を探る調査を実施しました。その結果、知名度や賛成意見に関するデータが明らかになり、企業におけるサイバー攻撃への意識が浮き彫りになっています。
調査結果の分析
知識の普及と認知度
調査の結果、能動的サイバー防御について「聞いたことはあるが詳しくは知らない」との回答が44.4%に達し、「まったく知らない」という回答も30.9%に上りました。これは、一般市民の間での認知度がまだまだ低いことを示しています。一方で、会社役員や団体役員の5割が「よく知っている」や「ある程度知っている」と回答しており、この層ではサイバー防御に関する理解度が高いことが分かります。
導入賛成派の割合
能動的サイバー防御の導入に賛成する人は59.4%という結果が出ました。特に会社役員層からの支持が8割を超え、次いで正社員や公務員、自営業者らが高い支持を示しました。これに対し、立憲民主党や共産党の支持層は賛成派が5割台と低調な結果となっています。
法案提出の期待
政府が2025年の通常国会に関連法案を提出すべきだと考える人は42.0%に達し、さらに「その必要がある」としつつも25年の通常国会でなくとも良いと考える人が23.6%でした。これは多くの人々が政府に対して早めの対応を求める姿勢を示していると言えるでしょう。
情報収集とプライバシーの関係
能動的サイバー防御の実施において、条件付きでインターネット情報やデータの収集・解析を認めることに賛成する人は65.7%という結果が出ました。特にプライバシーの配慮から、政府から独立した機関を設置すべきだと考える人が69.1%に達したのは注目に値します。
サイバー攻撃への具体的な対策
また、サイバー攻撃に対して相手のサーバーにアクセスして攻撃を防ぐ手法を認める必要があると考える人は73.8%にも上っています。これは、より強力な防御策を望む声が高まっていることを示しています。
企業の自覚
調査には、民間企業にサイバー攻撃を受けた際の報告義務を全ての事業者に適用すべきだと考える人が47.3%おり、重要インフラ事業者に限定すべきという意見は32.8%でした。このことから、企業側の自覚も少しずつ高まっているようです。
まとめ
紀尾井町戦略研究所の調査結果は、能動的サイバー防御の導入が求められている現状を浮き彫りにしました。特に企業や団体役員層の賛成の声が高まる中、一般の認知度を高めつつ、具体的な施策が求められている状態にあります。今後の施策の推進と、国民の理解促進が期待されます。