転職サービス「doda」の調査が示すミドルシニアの実態
パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda」は、2025年3月に20~64歳のビジネスマンを対象にしたアンケートを実施しました。この調査は特にミドルシニアと呼ばれる45~60歳層の転職に関する価値観を明らかにするもので、その結果が注目を集めています。
ミドルシニアが抱える悩みとは
調査結果から見えてきたのは、ミドルシニアが現職に対して抱く悩みです。最も多い悩みとして挙げられたのは「給料があがらない」というもので、回答者の37.7%がこれを選びました。さらに、「給料が安い」と感じる人も29.7%、評価制度が不透明だとする人も23.4%おり、給与面や評価制度に対する不満が顕著です。特にミドルシニア層は、20代と比べて上司に対する不満も目立ち、尊敬できる上司がいないという回答が目立ちました。
転職を考える理由
転職を検討しているミドルシニアの回答を見ても、「給料があがらない」が42.2%、さらに「給料が安すぎる」と「やりがいを感じられない」がそれぞれ38.9%、31.0%と続き、給料や評価が転職理由として上位を占めています。この結果は、経済状況や職場環境の変化が彼らの転職意識に大きな影響を与えていることを示唆しています。
転職サービスの活用状況
面白いのは、ミドルシニアが転職サービスを利用するタイミングについてです。調査によると、必要になるまで転職サービスに登録しない傾向が強く、20代に比べて登録意欲が低い結果が見られました。ミドルシニアの回答者のうち、登録は必要になるまでしないとする意見が22.7%を占め、一方で20代は13.9%と、8.8ポイントの差となっています。このことから、彼らは慎重に転職を考えていることが伺えます。
職場選びの基準
職場選びにおいて、ミドルシニアが最も重視しているのは「自分にできる業務であること」(51.2%)で、次いで「経営層が社員を大切にしている」(47.2%)が続きました。一方で、20代は休暇の取りやすさや福利厚生を重視する傾向が強く、これも世代間の価値観の違いを示しています。
専門家の見解
このような調査結果について、ミドルシニア労働市場の専門家である石井宏司氏は、給与や評価の不満が転職意向に大きく影響していると指摘しています。彼は、現在の日本の労働市場において、高齢者雇用が進む中、ミドルシニアが自身のキャリアを慎重に考え、より現実的な視点で転職を検討していることを強調します。また、人材獲得競争が進む中、企業側もミドルシニア層を対象とした人事制度の見直しが必要であると警鐘を鳴らしています。
まとめ
ミドルシニアの転職意識を探ったdodaの調査結果は、給与や評価に対する不満が主であり、転職への意識が高まっていることを示しています。企業側は、ミドルシニアを受け入れるための取り組みを強化し、より良い雇用環境を整えることが求められています。この変革が進むことで、ミドルシニア層の労働市場での活躍が促進されることでしょう。