デジタル社会形成の基盤強化:官報電子化と法制事務のデジタル化が加速する

デジタル社会形成の基盤強化:官報電子化と法制事務のデジタル化が加速する



デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを一気呵成に作り上げることを目指しています。その取り組みの一環として、2024年5月27日に開催された第5回デジタル関係制度改革検討会では、官報電子化と法制事務のデジタル化に関する議論が活発に行われました。

# 官報電子化:データの信頼性と利便性を高める



検討会では、官報の電子化が、従来の紙媒体から電子データへの移行を意味するだけでなく、データの信頼性と利便性を大幅に向上させる重要なステップであることが強調されました。

官報電子化のポイントは以下のとおりです。

電子データが官報の正本となる: ウェブサイトを通じて国民がダウンロードした電子データが、電子署名等によりデータの情報が同一であれば、官報の原本と同一視されるようになります。これにより、法律のデータ等の利活用が促進されると期待されます。
法令の公布を電子化する: 法令の公布は、ウェブサイトにアップロードされた時点で、全ての国民に提供されたとみなされるようになります。
長期公開: 国の広報である官報は、原則として永続的に公開されます。ただし、プライバシーに配慮すべき事項については、公開期間を制限します。
国立公文書館への移管: これまで国立公文書館に移管されていなかった官報のデータは、今後は永久に保存されるようになります。

# 法制事務のデジタル化: AIを活用し、業務効率化と法令データ利活用を促進



法制事務のデジタル化は、従来の手作業中心から、AIを活用した自動化やデータ連携による効率化を目指し、新たなフェーズへと移行しています。

法制事務のデジタル化は、以下の3つの目的を達成することを目指しています。

1. 効率的な法令等見直しを実現する基盤の確保: 法令データへのアクセスを容易にし、手作業による条文管理を減らすことで、効率的な法令見直しを促進します。
2. 法令等を戦略的にオープンデータ化する: 法令データをオープンデータ化することで、民間企業や研究機関による法令データの利活用を促進します。
3. 法制事務のデジタル原則への適合: 法制事務のデジタル化を進めることで、デジタル原則に適合した業務プロセスを構築します。

検討会では、法制事務のデジタル化に向けた実証事業の結果が報告されました。

実証事業では、以下の成果が得られました。

立案中の改正内容を反映した改め文と新旧対照表の自動生成: 法令の改正内容を自動で反映することで、手作業によるミスを防ぎ、効率性を向上させます。
法令データのベース・レジストリ化: 政府が整備する法令データは、ベース・レジストリとして整備され、他のシステムとの連携が促進されます。
告示データのベース・レジストリ化に向けた検討: 将来的には、告示データもベース・レジストリとして整備される予定です。

# デジタル法制審査:法案のデジタル原則適合性をチェック



デジタル法制審査は、法案のデジタル原則適合性をチェックすることで、デジタル社会形成を阻害するアナログ規制の解消を目指しています。

デジタル法制審査では、以下の2つの点に重点を置いています。

1. アナログ規制の点検: 既存法令の約1万条項について、デジタル原則に適合しているかどうかを点検しています。
2. デジタル化促進: デジタル法制審査で点検した結果を踏まえ、各省庁や地方自治体に対して、業務システムを含む法令の運用面でのさらなるデジタル化を促進しています。

# 今後の展望



官報電子化と法制事務のデジタル化は、日本のデジタル社会形成を大きく前進させる取り組みです。デジタル庁は、関係省庁や民間企業と連携し、これらの取り組みを更に加速させていく予定です。

課題と今後の検討



検討会では、官報電子化と法制事務のデジタル化を進める上で、いくつかの課題も指摘されました。

プライバシー保護: 官報に掲載されるプライバシー情報へのアクセス制限、利用目的の限定、適切な管理体制の構築など、プライバシー保護対策が重要となります。
データ連携: 法令データ、判例データ、処分例データなど、様々なデータとの連携を促進し、総合的な情報システムを構築することが必要です。
地方との格差: 地方自治体における法令データの整備やシステム導入が遅れることで、デジタル化の格差が生じる可能性があります。地方自治体への支援体制の強化が求められます。

これらの課題を克服し、官報電子化と法制事務のデジタル化を成功させるためには、関係機関の連携、民間企業との協働、そして国民への情報公開が不可欠です。

まとめ



官報電子化と法制事務のデジタル化は、日本のデジタル社会形成の基盤強化に不可欠な取り組みです。デジタル庁は、これらの取り組みを推進することで、国民の利便性向上、行政の効率化、そしてイノベーションの創出に貢献していくことを目指しています。

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