調査結果から見る医師の働き方改革
Ubie株式会社が実施した「医師の働き方改革に関する意識調査」の結果、約7割の医師が労働時間短縮を実感していないことが明らかになりました。この調査は2024年の4月に施行された働き方改革から約半年が経過した現在、全国の病院勤務医師を対象に行われ、272名が有効回答を寄せました。
医師の実感と現状
調査では、68.1%の医師が「働き方改革で労働時間が短縮されていない」と答えたことが示されました。その一方で「短縮された」と感じる医師はわずか12.1%と少数派です。この結果は、施行から半年経過したにもかかわらず、労働環境の改善が未だ達成されていないことを浮き彫りにしています。
労働時間短縮を実感できていない理由としては、52.4%の医師が「実施された対策が不十分で効果が見られない」と回答しており、対策の状況が限定的であることが明らかになりました。
施策の効果
回答者の中で、労働時間短縮に最も効果があった施策として多くの医師が指摘したのは、タスク・シフトやシェアの導入でしたが、効果が「大きい」と感じている医師は最大18.5%にとどまり、依然としてその効果は限定的です。
DXの未実施
次に、医療現場でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の進行状況についても調査しました。その結果、51.4%の医師が「全くできていない」または「あまりできていない」と回答し、DX推進が十分に進んでいない実態が浮かび上がりました。実際、「医療情報連携システム」の導入率は約38.6%でしたが、それ以外のDXツールの導入は20%未満と低い水準にあります。
AI技術の期待
このような中でも、AI技術に対する期待は高まっています。約71%の医師が「AI技術が医師の働き方改革に効果がある」と考えており、業務で生成AIを「活用する予定がある」「興味がある」という医師も5割以上に達しました。特に書類作成業務に対する期待が上位を占めています。これは、AIの理解が進んでいくことで、導入促進にも繋がると考えられます。
一方で、AI活用に懸念を持つ医師からは、「AI技術を取り入れられる業務が限られている」や「ITスキルが不足している」といった声が多く寄せられました。これらの課題を克服することで、AIが医療現場でより一層活用される可能性が高まるでしょう。
Ubieの取り組み
Ubie株式会社の共同代表取締役である阿部吉倫医師は、「働き方改革により労働時間短縮を実感できていないことから、今後の医療現場の効率化にはAI技術を導入が重要である」とコメントしています。Ubieでは、2024年5月に新たに「ユビーメディカルナビ 生成AI」を提供開始予定で、医師が抱える業務課題を解決するための役割を果たすことが期待されています。
このサービスには、文章生成、要約、音声認識、画像認識などの機能があり、医療従事者の業務負担を軽減できるとされています。技術の進化とともに、医療現場の働き方改革にも一層の期待が寄せられています。
まとめ
医師の労働時間の変化を実感できていない現状が調査によって浮き彫りになりましたが、AIや生成AIに期待を寄せる声が多いことも確認されました。これからの課題は、AI導入の障壁を取り除き、実務に役立てることで医療環境の改善を進めることです。