数理モデルで探る神経回路
2025-02-19 14:22:32

神経回路の成熟メカニズムを数理モデルで探る新たな研究成果

新たな神経回路の研究



千葉工業大学を中心とする研究チームが、数理モデルを用いて神経回路の成熟メカニズムを探りました。この研究は、特に「臨界期」と呼ばれる生物の発達段階に注目し、抑制性ニューロンがどのように機能するのかを明らかにしようとしたものです。具体的には、スパイキングニューラルネットワーク(SNN)を使用したシミュレーションを行い、抑制性の成熟がガンマ帯域の神経活動に与える影響について検証しました。

研究の背景



脳の神経回路は複雑な神経細胞の結合によって成り立っています。特に、外部からの刺激に敏感な生後特有の時期を臨界期と呼び、その時期に経験する刺激は視覚や聴覚、言語の発達に重要であるとされています。また、この時期においては、抑制性ニューロンの成熟が重要な役割を果たしていることが知られています。

研究内容の詳細



本研究では、抑制性ニューロンと興奮性ニューロンによる相互作用を数理的にモデル化したSNNを使用し、神経回路内での抑制の増加が外的刺激に対する応答性をどう変化させるかを調査しました。SNNモデルでは、複数の興奮性ニューロンと抑制性ニューロンが組み合わさって、ガンマ帯域の振動を生成します。

実験の進行



実験では、抑制性ニューロンから興奮性ニューロンへのシナプス結合の強さを調整し、異なる抑制性レベルでガンマ帯域の周波数による刺激(40Hz、80Hz)を与え、ニューロンの発火率を観察しました。この過程を通じ、入出力の同步の程度を評価し、神経活動の応答性を測定しました。

結果



結果として、抑制性ニューロンのレベルが高くなるほど、ガンマ帯域における神経応答が向上することが示されました。具体的には、特定の抑制性レベルでのITPC(Inter-Trial Phase Coherence)解析の結果、80Hzの刺激時に神経の同期性が高まることが確認され、これは視覚刺激への応答性が抑制性の増加により向上するという先行研究の知見とも合致しました。さらに、自発発火活動のパワースペクトル解析の結果、抑制性の増加によって自発発火活動が適度に抑えられることも確認されました。

今後の展望



本研究は神経回路の発達メカニズムの理解を深める貴重な成果をもたらしました。今後は、より生理学的な信頼性の高い複雑なモデルを構築し、さらなる評価を行っていくことが期待されています。この研究が神経科学のさらなる進展に寄与することは間違いありません。


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会社情報

会社名
千葉工業大学
住所
千葉県習志野市津田沼2-17-1
電話番号
047-478-0222

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