愛知の町工場が宇宙ゴミ対策リフレクターを披露

愛知の町工場が提供する宇宙ゴミ対策

愛知県碧南市に本社を持つ石敏鐵工株式会社が、ポートメッセなごやにて開催される「メッセナゴヤ2025」に出展し、「SLR用小型リフレクター」を名古屋地区で初めて披露します。この製品は宇宙ゴミ問題への対策として、人工衛星の位置確認や軌道管理に寄与する重要な役割を果たします。展示会は2025年11月5日から7日までの間に行われ、特別企画展「Space Approach Expo」の小間番号SAE-5でお待ちしております。

SLR（衛星レーザー測距）技術とは

（Surveying Laser Ranging）技術は、地上局から人工衛星にレーザー光を送信し、その往復時間に基づいて高精度な距離測定を行う優れた手法として知られています。これにより、人工衛星の動きを正確に把握することが可能となり、さらには宇宙ゴミとなった物体との衝突回避にも活用されています。近年、この技術の重要性は増しており、持続可能な宇宙利用の実現に欠かせないものになっています。

開発背景

従来、SLR用のリフレクターは大型の計測用部品が主流で、中には汎用性に欠けるものもありました。しかし、小型衛星やロケットの上段に搭載可能な軽量でコンパクトなリフレクターのニーズが高まる中、宇宙航空研究開発機構（JAXA）が開発した「Mt.FUJI」にその解決策が提示されました。石敏鐵工はこの技術の製造・販売ライセンス契約を締結し、最新の技術を導入した製品を市場に提供します。

特徴と製品詳細

石敏鐵工が開発したSLR用小型リフレクターには、次のような優れた特徴があります。

- SLR-IS-Xpro

- サイズ: 直径112mm、高さ32mm、重量約262g
- 使用可能な高度: 約800km
- 中型〜小型衛星やロケット上段に対応

- SLR-IS-mini

- サイズ: 直径62mm、高さ17.5mm、重量約46g
- 使用可能な高度: 約500km
- 超小型衛星向けの設計

これらのリフレクターは、衛星のミッションやサイズに合わせて選ぶことができ、精密な軌道決定を実現するお手伝いをします。

宇宙での運用開始

特に注目すべきは、石敏鐵工が製造に関与した「mini-Mt.FUJI」です。このリフレクターは、一般社団法人e-kagakuが開発した衛星e-kagaku-1に搭載され、2025年10月10日に国際宇宙ステーション（ISS）から放出されました。これにより、すでに実際の宇宙環境で運用がスタートしています。