出光興産、新たな低摩擦ソリューションを発表
出光興産株式会社は、韓国のZenith Corporationおよびその日本総代理店である株式会社グローバルコードとの間で、潤滑剤とPEEKコーティングを組み合わせた低摩擦ソリューションの事業化に向けて基本合意書を締結しました。この革新的なソリューションは、2035年までに100億円の事業規模を狙っています。
潤滑剤は、摩擦を低減するために自動車や機械部品など、さまざまなシステムに利用されています。出光興産は、この潤滑剤と耐熱性や耐摩耗性に優れた高機能プラスチック「PEEK」を組み合わせることで、さらなる摩擦の低減を目指しています。
PEEKコーティングの可能性
これまでコーティング素材として主に使用されてきたテフロンは、PFASという化学物質の一種であり、環境に長期間残留する懸念があります。これに対抗し、出光興産はPEEKを新たな代替素材として選択しました。PEEKは、高い耐熱性と耐摩耗性を持ち、環境への影響を抑えることが期待されていますが、基材への密着性が課題となっていました。
この課題を解決するために、出光興産はゼニス社のアンカー構造という技術を採用。この技術により、基材の表面に微細な凹凸を形成し、高い密着性を実現しました。その上、出光興産は潤滑剤の設計技術を駆使して、PEEKが持つ特性を最大限に引き出す新しい高機能潤滑剤を開発しました。
環境配慮と持続可能な未来
出光興産は、自動車や産業機械など、幅広い分野でこの新しい低摩擦ソリューションの導入を進める方針です。潤滑剤とPEEKコーティングの併用により、エネルギー効率の向上や省燃費化を実現し、持続可能な社会の構築に寄与します。
この新技術を駆使し、国内外の市場での競争力を強化し、持続可能な開発目標に沿った製品の供給が期待されています。
ゼニス社とGC社の役割
ゼニス社は、韓国・梁山に本社を持ち、様々な用途に応じたコーティング技術を提供している企業です。特に調理器具へのコーティングにおいて、その技術力は注目されています。一方、株式会社グローバルコードは、大阪を拠点にする貿易商社で、化学製品や電子機器の扱いも手がける企業です。PEEKコーティング事業においても、その展開に力を注いでいます。
出光興産は、今後もこの画期的な低摩擦ソリューションを通じて、環境保護に配慮した技術革新を推進しつつ、新たなビジネスチャンスを開拓していくことでしょう。
この取り組みがもたらす影響は、自動車業界や産業機械市場にとどまらず、環境問題に対する意識を高め、持続可能な社会の実現へと寄与することが期待されています。