近年、日本の農業生産者数が減少傾向にある中で、双日は新たな取り組みを展開しています。市場での消費者からの需要が高まっている国産野菜、特にタマネギについて、持続可能で安定した供給体制の構築を目指しています。
タマネギは、私たちの食生活に欠かせない重要な野菜でありながら、生鮮野菜としての輸入量が国内消費量の約30%を占めています。この現状に対抗するために、双日は2022年6月に双日農業株式会社を設立し、国産タマネギの生産・流通の強化に向けた具体的なアクションを始めました。
特に注目すべきは、2023年3月に設立された双日由利農人株式会社です。この組織は、秋田県由利本荘市に拠点を置き、地域の生産者と連携してタマネギの産地化に着手しました。また、双日は地域の生産体制をさらに拡大し、2024年2月には高知県との協定を結び、地域との連携を深めています。
最近では、大分県国東市との連携協定を締結し、循環型農業の実践に向けた新たな取り組みが発表されました。この協定では、食品メーカーや畜産農家が生産する堆肥などの残渣を活用し、持続可能な農業の構築を目指します。さらに、スマート農業の導入やGAP認証の取得を通じて、より高品質な農産物の供給を目指します。
双日は、2024年度には北海道、青森県、群馬県にも本事業を拡大すると発表しており、2026年度末には約300ヘクタールの作付面積を予定しています。この取り組みは、地域の農業生産者へのサポートに加え、収穫後の流通や加工、そして販路開拓にも重点を置いています。
双日の代表取締役会長CEO、藤本昌義氏は、大分県との協定締結式にて「地域生産者との協力を強化し、通年供給体制を構建することで、日本農業の発展に寄与していきたい」と意気込みを語っています。国産のタマネギ生産の強化は、単なる販路拡大にとどまらず、日本の農業が直面している様々な問題解決に寄与する重要な要素となるでしょう。
今後、双日の取り組みがどのように展開され、地域の農業にどのような影響を及ぼすのか注目です。