スリーエスの新たな展開
2023年10月、24時間型訪問介護に特化したサービスを提供するスリーエスが、HIRAC FUNDなどから3.3億円の資金調達を実施しました。この資金は、同社のビジョン「どんな人でも、自分の人生を決められる社会を創る」を実現するための重要なステップとなります。
背景と介護の現状
高齢者が自宅で最期を迎えたいと考える割合は約7割にのぼりますが、実際には在宅介護の提供サービスは限られています。厚生労働省の調査によると、在宅介護の一環としての「24時間型訪問介護」は介護保険総費用のわずか0.7%にとどまっています。この市場は、今後の高齢化社会においてますます重要性が増すことが予想されます。
事業の必要性
24時間型訪問介護は、高齢者が自宅で安心して生活できるための大きな手段ですが、未参入の事業者にとって体制構築の難易度が高く、既存の事業者でも運営が難しく収益化が難しいのが現状です。このため、介護サービスの選択肢から外れやすくなっています。
スリーエスは、こうした課題を解決するために、テクノロジーを活用したSaaSサービス「PORTALL」を開発しました。このサービスは、ケアマネジャーとの共同ケアプラン作りを容易にし、24時間型訪問介護の導入を促進します。
具体的な施策
資金調達の使途としては、主に以下の3つが挙げられています。
1.
人材の採用
- 介護職やソフトウェアエンジニアを増員し、24時間型訪問介護のサービス提供体制を強化。
2.
新規介護事業所の開設
- 首都圏中心に10の新事業所を開設し、訪問介護サービスの充実を図る。
3.
PORTALLシリーズの開発強化
- 事業者への実績を広め、2025年までに100事業所での導入を目指します。
投資家の期待とサポート
投資家からは、スリーエスの介護サービスが高齢化社会の課題を解決するための重要な一歩であるとの期待が示されています。特に「介護職やケアマネジャーの負荷軽減」と「被介護者とその家族のニーズに応える」点が評価されています。
代表者のコメント
代表取締役CEOの千田桂太郎氏は、「今回の資金調達を通じて、プロダクトの開発と直営事業所の出店を加速し、ステークホルダーと共に介護業界全体に貢献していきたい」と述べています。
今後の展望
スリーエスは「在宅生活」を支援する選択肢を提供することで、高齢者の生活の質を向上させることを目指しています。社会保障コストを最適化し、介護サービスの質を高めることで、全ての人々が「自分の人生を決められる世界」の実現を目指して邁進していくでしょう。