島根発!老舗旅館が医療と連携し嚥下食体験ツアーを実施
島根県松江市に位置する老舗旅館、「なにわ一水」は、嚥下機能の低下に悩む方々とそのご家族を対象にした特別な取り組みを開始しました。この取り組みは、医療と観光を融合させたユニバーサルツーリズムの一環として、新たな旅の楽しみを提供するものです。
旅館とヘルスケア企業のコラボレーション
「なにわ一水」と三重県に拠点を置く「ニュートリー株式会社」の共同プロジェクトとして、8月28日(木)に「えんげ食体験ツアー」が開催されます。このイベントでは、嚥下機能の低下により旅行を楽しむことが難しい方々を招待し、同じ食事を楽しむ機会を提供します。特に注目すべきは、このイベントで提供される「えんげ食会席」です。
山陰の地の利を活かした食事内容
「えんげ食会席」では、地元の新鮮な海の幸や、しまね和牛など、山陰地方の食材をふんだんに使用した贅沢な料理が用意されます。通常の食事を基にした嚥下食は、“見た目も味もそのままに”、“飲み込みやすさ”を考慮した工夫が施されています。これにより、誰もが一緒に同じメニューを楽しむことができるという新しい体験が生まれます。
知識と技術をシェアする場
イベント当日には、嚥下食の開発秘話やその技術についての解説も行われ、医療監修を手がける松江生協病院の仙田直之先生による講演も予定されています。享受しづらい食事が、旅の希望へとつながる可能性を広げる場となることでしょう。
嚥下障害を深く理解しよう
嚥下障害とは、飲み込む機能に問題が生じる状態であり、加齢や病気が原因で多くの方に影響を及ぼすことがあります。特に高齢者において、約24%の方が食事の際に飲み込みにくさを感じているとの報告もあります。この状況が、外出の機会を減少させ、ひいては健康にも悪影響を与えるという懸念が存在します。
「旅をあきらめない社会」への挑戦
このイベントが、嚥下障害を抱える方々に希望を与え、「旅をあきらめない社会」という目標をもとにした第一歩としての役割を果たすことを期待しています。自分自身や大切な人と共に、再び旅を楽しむ機会を提供することは、心と体の健康を支える大切な要素と言えるでしょう。
「なにわ一水」のユニバーサルデザイン
「なにわ一水」は、老舗ならではの伝統を重んじつつ、バリアフリーやユニバーサルデザインの取り組みにも力を入れています。館内は車いすでの移動がしやすい設計となっており、入浴用リフトや視覚、聴覚、内部障がい者、高齢者など、多様なニーズに対応したアメニティが提供されています。このような配慮が評価され、同旅館は国際的なデザイン賞も受賞しています。
ニュートリー株式会社の使命
医療・介護向けに特化したニュートリー株式会社は、栄養補助食品や嚥下補助食品などを開発・提供するヘルスケア企業です。高齢者福祉にも適した製品を開発し続けることで、運営理念である「QOLの向上」に貢献しています。また、最新の医療ニーズに応えるために邁進しており、旅館業界とも新たな連携を模索していることも特徴です。
まとめ
今回の「えんげ食体験ツアー」が示すように、医療と旅が手を取り合うことで、すべての人が安心して旅を楽しめる環境の実現に向けた新たな一歩が踏み出されています。嚥下障害を理解し、共に楽しむ時間を創出することは、我々にとって非常に意義深いことと言えるでしょう。今後もこのような取り組みが全国に広がり、「旅をあきらめない社会」の実現に寄与することを願っています。