アイヌの歴史を映す写真集『Ene ku=an i アイヌ、100人のいまⅡ』の誕生
フォトグラファーの宇井眞紀子さんが、アイヌ民族の100人をテーマにした写真集の第2弾『Ene ku=an iアイヌ、100人のいまⅡ』を出版しました。このプロジェクトは、2009年に始まり、日本全国に暮らすアイヌの人々のポートレートを記録してきたものです。2023年10月1日に発売が決まり、12月4日からは刊行記念の展示会も始まります。
アイヌの価値と歴史に迫る
アイヌは、日本の先住民族であり、その存在は東北地方から北海道、さらにはサハリンや千島列島にまで及びます。しかし、明治政府による同化政策によって、長い間、言語や文化が抑圧され、アイヌの人々は差別と偏見に苦しむ歴史を背負っています。宇井さんは、そんな歴史と現状を伝えることを目的とし、アイヌ民族との出会いからこのプロジェクトに取り組み始めました。
「和人」としての自分と向き合いながら、彼女はアイヌの人々が日常生活を送る中での表情や姿を、丁寧にカメラに収めてきました。写真集には、伝統的な儀式だけでなく、日常の生活風景も多く含まれています。これは、アイヌの文化がただ「過去のもの」としてではなく、「今も生き続けているもの」であることを伝えるためです。
新たな100人の出会い
今回の写真集では、新たに100組のアイヌの人々の姿を捉え、彼らの思いや言葉を写真とともに掲載しています。撮影の際には、アイヌの人々が自身の意志で場所や状況を選ぶことができるという配慮がなされています。これにより、編集された写真集は単なる記録以上の、個々のストーリーを語るものとなっています。
特に思い出に残っているのは、第一弾の撮影から再会した熊谷カネさんのポートレートです。「アイヌの衣装で撮ってくれ」との彼の言葉が、宇井さんにとってこのプロジェクトの重要な契機となりました。
展示会とその意味
12月4日から開催される展示会では、写真集に収録されている全100組のポートレートが公開されます。また、展示会の中でギャラリートークも予定されています。宇井さんの想い、そしてアイヌ民族の「現在」の姿をより深く知る機会となることでしょう。
さらに、タイトルに込められた「Ene ku=an i(エネクアニ)」は、アイヌ語で「このように私がいること」を意味します。これは、アイヌの人々がそれぞれの存在と声を持っていることを強調しています。宇井さんは、200人でも足りず、できるだけ多くの声を届けなければならないと語っています。
未来への希望
この写真集と展示会を通じて、アイヌ民族の歴史と現在、そして未来への希望が一つでも多くの人々に届くことを願っています。宇井眞紀子さんの活動は、アイヌ文化の継承だけでなく、私たち皆が共に生きるための理解と尊重の大切さを教えてくれます。今後も彼女の活動から目が離せません。彼女の公式サイトでは、さらなる情報も提供されているので、ぜひ訪れてみてください。彼女の情熱的な写真は、きっと多くの人々の心に響くことでしょう。