EdgeCortix、ルネサスのAIフレームワークにMERAコンパイラを搭載
エネルギー効率に特化したAI処理が進化する中、EdgeCortixのMERAコンパイラがルネサスの新しいAI開発フレームワーク「RUHMI Framework」に採用されたことが発表されました。これは、両社の連携を示す重要なステップであり、AI技術の進展に貢献するものとなります。
RUHMI Frameworkは、ルネサスが新たに提供する統合的なツールチェーンで、マイクロプロセッサ(MPU)やマイクロコントローラ(MCU)向けに設計されています。このフレームワークにより、開発者は最新のAIモデルを機械学習フレームワークに依存することなく、効率的に最適化・展開できるようになります。具体的には、モデルの量子化やグラフコンパイルが可能で、MPUやMCUに適したソースコードが自動生成されます。
特に注目すべきは、最近発表されたRA8P1 MCUを含む、ルネサスの多くのMPUおよびMCU製品に対応している点です。これにより、開発者はTensorFlow Lite、PyTorch、ONNXなどの一般的なAIフレームワークを使用し、簡単にMPUやMCUにニューラルネットワークモデルを実装することができます。これまでのプロセスを大幅に簡略化し、カスタマイズされたアプリケーションソフトウェアの展開を迅速に行えるようになります。
EdgeCortixの創業者でありCEOのサキャシンガ・ダスグプタ博士は、「この取り組みは、ルネサスとの長年の協力関係の成果です。この戦略は、MERAコンパイラが異種プロセッサ環境でのAI展開を簡単にする役割を示しています」と語っています。MERAはハードウェアの複雑さを解消し、MCUやMPUはもちろん、NPUやAIアクセラレータに至るまで、迅速でスケーラブルなAI機能を実現します。
RUHMIは、ルネサスの統合開発環境であるe2 studioにも組み込まれており、AIアプリケーションの開発プロセスを一層シームレスにしています。これにより、産業用途から民生分野にいたるまで、IoT製品にインテリジェントな機能を素早く組み込むことが可能になります。
EdgeCortixは2019年に設立され、東京都に本社を構えています。独自のソフトウェアファースト戦略を採用し、エッジでの生成AI処理においてエネルギー効率を追求しています。DEFENSE、エアロスペース、スマートシティ、インダストリー4.0、自動運転技術、ロボティクスなど、多岐にわたるエッジコンピューティングアプリケーションでのアプローチに注目が集まっています。
AIとIoTが融合する時代、EdgeCortixとルネサスの協力により、さらに多くの可能性が開かれるでしょう。最新のRUHMI Frameworkの詳細や開発者向けリソースについては、公式サイトで確認することができます。これからAI技術の発展を実感できる機会が増えていくことでしょう。