介護施設におけるAIの活用
少子高齢化が進む日本において、介護サービスの質を向上させることが急務です。そのため、NTTBP(エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社)と日立製作所は、介護施設の入居者の感情変化をAIで検知する実証実験を行いました。目的は、利用者の安心安全を確保し、介護スタッフの負担を軽減することにあります。
実証実験の概要
この実証実験は、テルウェル東日本が運営する介護施設で実施されました。入居者の映像や音声データを扱い、彼らの感情を分析することで、どのようなシーンでどのような感情が生じるのかを理解しようとしました。具体的には、入居者がスタッフと1対1でコミュニケーションをとる場面や、食堂での集まりなど、さまざまなシーンをカメラで撮影。また、撮影したデータを基に、AIが入居者の感情を7種類に分類しました。
手法とプロセス
実証実験は主に3つの段階で構成されます。
1.
感情の観察: 介護施設における入居者の表情や動作、声を記録しました。特に、個別のサポートが求められる状況や、他者との交流が行われる場面が重視されました。
2.
感情の分析: AI技術を使い、記録したデータを解析し、入居者の感情を分類しました。この結果、感情分析は実際の感情と約75%の精度で一致。これはAIの有用性を示しています。
3.
要因の分析: 入居者のプロファイリング情報や介護記録、スタッフのヒアリングを基に、感情がどのように変化するかを探ることで、ポジティブなケアに繋げています。これにより、入居者の心の状態をより正確に把握し、サービスの向上を図ることが可能になりました。
介護現場の課題解決に向けて
この実証実験により、介護現場での感情理解がいかに重要であるかが明らかになりました。要介護者の感情を適切に把握し、個々のニーズに応じたサポートを行うことができれば、安心と快適さを提供できるのです。今後、NTTBPと日立は、2024年度中にこのシステムの事業化を目指しています。具体的には、介護スタッフが入居者の気持ちを事前に把握し、感情の急激な変化を防ぐための支援サービスを構築する予定です。
未来への展望
実証実験を通じて得られた知識は、介護事業者との提携を拡大し、福祉サービス全体に波及することが期待されます。また、介護現場の課題を解決することで、入居者の生活の質やウェルビーイングを向上させる社会の実現に向けて、一層の努力を続ける考えです。実際に、人々の生活向上に寄与する役割を果たすことを目指しています。
まとめ
介護分野でのAI利用は、技術革新だけでなく、サービスの質を大いに改善する可能性を秘めています。今後の展開に期待が高まります。さらに詳しい情報は、日立の公式Webサイトをご覧ください。