プロダクションデザイナーが語る物語の舞台作りとその秘訣
2025年8月下旬、株式会社ボーンデジタルより新書『物語の世界をデザインする 背景でストーリーを伝えるための必須常識 Framed Environment Design 日本語版』が発売される。この書籍では、映画やアニメーションの制作に携わるプロダクションデザイナー、マルコス・マテウ=メストレが、物語に引き込むための舞台作りについて詳しく解説している。
物語の舞台を感じる重要性
ビジュアルコンテンツの制作において、物語の舞台をデザインすることは極めて重要なプロセスである。本書では、物語の世界観を構築するにあたり、細かな部分から全体の流れへと進む思考法が紹介されている。具体的には、
- - 脚本の要素を読み解く
- - 資料収集と分析
- - 大枠から細部へのデザイン
といったステップを経て、観客が物語への没入感を得られるような環境デザインのアプローチが示されている。
環境デザインの実践法
加えて、ただ世界を構築するだけでなく、その空間を「撮影可能なシーン」として考えることも強調されている。カメラの視点を意識した空間展示、建物と周囲の環境の調和、光や天気をどのように演出に活かすかなど、具体的な実践方法が網羅されている。これにより、環境や背景はストーリーの一部となり、登場人物のアクションや感情を伝達する役割を果たすようになる。
様々な分野での応用
本書は映画やアニメーションに限らず、グラフィックノベルやイラストレーションなど、幅広いビジュアルコンテンツ制作に役立つデザインプロセスを具体例を交えてわかりやすく説明している。特に、ビジュアルコンテンツに必要な配慮や創造性がどのように作品を豊かにするか、その重要性を深く理解できる内容となっている。
書籍の内容
書籍には、著者マルコスの豊富な経験を基にした実践的な知見や、書籍のために描かれた豊富なビジュアル資料が収められており、アイデアの視覚化を促す構成になっている。背景デザイナーの「わいっしゅ」氏による推薦文も掲載され、これからコンセプトアーティストを目指す人にとって必読の内容とされている。
著者のプロフィール
マルコス・マテウ=メストレは、多くの名作に携わっており、ドリームワークス・アニメーションやNetflix、ソニー・ピクチャーズ アニメーションでのビジュアルデベロップメントが評価されている。最近ではNetflixの『Ultraman: Rising』でプロダクションデザイナーとして活躍しており、彼の指南は実践的かつ未来的なデザインに繋がっている。
新しい物語を生み出すための舞台作りの知恵と技法が詰まった『物語の世界をデザインする』は、ビジュアルコンテンツ制作者必見の一冊だ。この書籍を手に取って、物語を一層豊かにする舞台デザインの魅力に触れてみてほしい。