蒲鉾が描く未来の食卓:社員211人が語る地元の味の重要性
静岡県焼津市に本社を置く株式会社橋本組は、2025年3月、全社員を対象に「蒲鉾の食べ方に関する社内アンケート」を実施しました。回答を得たのは211名で、回答率は72%です。この調査の目的は、社員の日常と地元の文化、食がどのように結びついているのかを探ることでした。
地元の味が日常から遠のく現実
調査の背景には、焼津の老舗企業・サス大酒平が製造する蒲鉾「湊(みなと)」が全国蒲鉾品評会で農林水産大臣賞を受賞したにもかかわらず、“蒲鉾離れ”という現象があると指摘されています。美味しいのに、なぜ蒲鉾は食卓から遠ざかっているのか? そんな社員の疑問から、この調査が始まりました。
現実の食卓における蒲鉾の位置づけ
アンケート結果によると、蒲鉾は「年末年始」「酒のつまみ」「弁当」「夕食の一品」といった多岐にわたるシーンで使用されています。意外にも、その背後には思い出や余白の時間を支える役割があったのです。例えば、年末年始には家族で集まる際に蒲鉾が登場し、幼少期の思い出と結びついていることが多いのです。
アンケートから見える蒲鉾の利用
1.
多様な消費シーン:多くの家庭で蒲鉾が年末年始や酒のつまみとして使用される一因には、“過去の記憶”が関係している。
2.
アレンジの楽しみ:そのまま食べるだけでなく、親子丼や雑炊、キャラ弁といった工夫を凝らした食べ方ができる点も評価されており、切りやすい機能性は高齢者や育児世代にも支持されています。
3.
記憶を宿す食材:蒲鉾はただの副菜に留まらず、家族や友人との時間を結びつける「思い出インフラ」としての役割を果たしていることが分かりました。
「はしもとの家」の設計思想と蒲鉾の共通点
本アンケートの結果から、橋本組が展開する住宅「はしもとの家」の思想と共鳴することが浮かび上がりました。この住宅は、「老いに向き合う」といったコンセプトで、住まいと食が記憶をつなぎ直す空間作りを目指しています。
共通しているのは、記憶を宿しながら今をつなぐという役割。また、年齢を重ねても楽しめる設計がなされている点です。
今後の展開と地域文化の継承
調査結果を基に、今後は「社員レシピブック」のweb掲載や「蒲鉾と暮らすキッチン」イベントの開催、さらに「はしもとの家」と「酒平」ブランドの介護食品に関する開発が予定されています。
これらは単なるプロモーションに留まらず、地域や次世代に知恵を手渡す取り組みとして位置づけられています。
まとめ
蒲鉾はただの食材ではなく、記憶を結びつける「思い出インフラ」であり、生活を豊かにする余白のグルメであると明らかになりました。静岡県焼津市の橋本組は、地域の文化を支える生活インフラの一翼を担っています。
今後も、蒲鉾を通して地域の皆様と共に歩み、過去と現在をつなぐ食卓の未来を築いていくことでしょう。蒲鉾が再び日常の食卓に戻るきっかけとなるかもしれません。