新たな音響技術の拠点が岡山に誕生
日本の建設業界に新たな風を吹き込むのは、大建工業株式会社が発表した「音環境ラボラトリー」、愛称『音ラボ』です。2023年8月20日、岡山県岡山市南区にてこの音響技術の実験棟が着工されました。この施設は、音の測定・分析技術を向上させ、建築音響製品や新たな音響技術の開発を目指すもので、2025年10月に完成予定です。
投資額と施設の概要
今回の音環境ラボラトリーには、約13億円が投じられることになります。当初の予想よりも増額されましたが、これは新規の実験設備などを含む総合的な投資となります。この施設の特徴として、以下の4つの特別な実験室が用意されていることが挙げられます。
1.
木造実験室(CLTパネル工法)
CLT(直交集成材)を用いた空間の音響特性を探求。木材の使用が進む現代において、その重要性が浮き彫りになっています。
2.
無響室
特殊な吸音材で囲まれたこの空間では、音の反響を排除。音波の測定や新素材の開発に適しています。
3.
残響室
異なる大きさの部屋で、素材ごとの音響特性を計測します。様々な建材の吸音性能を確認することが可能です。
4.
箱型実験室
マンションや一戸建ての上下階部分を模した空間で、床衝撃音などの検証が行われます。
このような専門的な装備によって、音に関連するあらゆる研究や開発が行われるのです。
音響メタマテリアル技術
また、音環境ラボラトリーでは「音響メタマテリアル」の研究も進められます。これは、自然界には存在しない特性を持つ人工的な物質で、特に音波を制御することに優れています。国内でもその実用化が進められており、音響関連業界の市場拡大が期待されています。
80周年を迎える大建工業の展望
大建工業は来年、創業80周年を迎えます。この特別な年を契機に、同社の強みである音に関する研究開発力をさらに強化する方針です。『音ラボ』を通じて、快適な音環境の提供を目指し、顧客のニーズに応じた多様な製品の開発を進めていくとしています。
起工式が開催されました
2023年8月20日には『音ラボ』建設の起工式が行われ、設計・施工業者を含む関係者が出席しました。安全を祈願する儀式では、社長の億田氏が挨拶を行い、新たな音響技術研究のスタートを祝いました。
この『音ラボ』が完成することで、日本の音響技術の進化に大きく寄与することは間違いありません。今後の動向から目が離せません。特に、音楽や映像のクオリティを追求する現代において、この技術がどんな新たな可能性を示してくれるのか、期待が高まります。