ON&BOARDとZeLoによる新たな税制適格ストックオプション雛形
2024年から施行される税制改正を見据え、ON&BOARD株式会社と法律事務所ZeLoが共同で作成した「SO ONBOARDING KIT」が注目を集めています。この雛形は、スタートアップ企業がストックオプション(SO)を活用する際に役立つ契約書式として無料で公開されており、ダウンロードすることが可能です。
SO雛形公開の背景
ストックオプションは、スタートアップ企業にとって、役員や従業員への報酬やインセンティブを設計する上で非常に便利な手段です。しかし、その実施にあたっては、税制や法的な要件が絡むため、設計・運用方法が複雑で理解しづらいという課題もありました。特に税制適格SOにおいては、行使価額や保管委託など、多くの要素を検討する必要があり、そのため障壁が高いとされてきました。
近年、政府のスタートアップ支援策により、税制適格SOの要件は大きく緩和され、行使価額の設定自由度や行使額上限の引上げなどが行われています。加えて、M&Aの機会を利用する企業も増えており、従業員がSOのインセンティブを享受できる設計が求められています。
その一環として、ON&BOARDとZeLoは最新の法改正に基づいた実務的なSO契約書の雛形を提供し、スタートアップの各社が実務に活かせるよう尽力しています。
演算項目: 令和6年度税制改正の主なポイント
1.
行使価額の設定自由度の拡大
従来の株価に関わらず、純資産価額を基にした安価な行使価額の設定が可能となります。これにより、従業員のインセンティブ強化が期待されます。
2.
行使価額上限の引上げ
税制適格SOに関して、年間行使額の上限が最大3,600万円に増額され、高い評価額の時期でも柔軟にSOの付与が可能となります。
3.
保管委託要件の緩和
上場前に権利行使する際の手続きが簡略化され、M&A成立時の行使などが容易になります。
4.
社外高度人材への付与要件緩和
外部の専門家や大学関係者など、優秀なスキルを持つ人材にもSOを付与しやすくなります。
「SO ONBOARDING KIT」の詳細
この「SO ONBOARDING KIT」では、以下の特徴を備えています。
1.
退職時の SO の取扱い選択肢
従来の失効型に加え、在籍期間に応じたベスティングを導入し、退職後も保有継続を認める設計が可能です。
2.
M&A時の扱い明確化
M&Aが発生した際の税制適格SOの行使可否を柔軟に会社が選択できるように設計されています。
3.
簡易取得・消却の規定
行使不可能なSOを会社が引き取って一括消却できる条項を設定し、手続きを軽減します。
4.
各条項のコメント付き解説
各条項には解説が付いており、制度背景や検討ポイントがわかりやすくなっています。
このように、「SO ONBOARDING KIT」ではSO発行手続きや株主総会の決議、登記に関する要点を明瞭に説明しており、ダウンロード後すぐに導入が可能です。ただし、運用の際には、事業モデルや人事戦略を考慮し、必要に応じて専門家の指導を仰ぐことを推奨します。
注意事項
本雛形は一般的な情報提供を目的としており、特定の法的アドバイスではありません。利用の際は、最新法令の確認と、必要に応じて弁護士や税理士への相談を行うことが重要です。
会社情報
ON&BOARD株式会社の所在地は東京都港区虎ノ門で、代表者は下平将人氏と中山航介氏です。ZeLo法律事務所は東京都江東区にあります。公式サイトでは、関連情報やサポートサービスについても紹介しています。