高齢の親と災害に関する意識調査の重要性
2025年3月11日で東日本大震災から14年。また、株式会社LIFULLのグループ企業であるLIFULL seniorが実施した「高齢の親と災害に関する意識調査」は、このタイミングで特に重要な意味を持っています。この調査は、年々高齢化が進む日本において、高齢者に対する災害時のリスクと、その備えに関する認識を深めることを目的としています。
調査の背景と必要性
2011年の震災において、特に60歳以上の方々の被害が多かったことが示されているため、高齢者の避難行動やその準備状態を把握することは、我々にとって喫緊の課題です。また、親が高齢である場合、周囲がどのような対策を講じるべきかも明確にしておく必要があります。これに基づき、同調査は高齢の親を持つ30~50代の約581人を対象に実施されました。
調査の結果概要
調査結果によると、親が別居している場合、災害に対する備えについて不安が多く寄せられました。具体的には、親が災害に備えていると思う割合が、同居中の39%に対して別居中は27%と、12%の差がありました。また、災害や防災についての話し合いの頻度も同様に差があり、同居の場合は53%、別居の場合は32%に留まっています。
特に注目すべき点は、避難時の不安要素です。同居中では「食料品や水などの供給不足」に対する心配が多く、別居中では「親のもとへすぐに駆け付けられない」といった実際的な不安が最も多く選ばれました。このことから、親と物理的に距離がある場合、実際に親の状況を把握するのが難しいことが強調されています。
介護施設と災害対策
介護施設に関連する調査項目でも、約60%がその避難計画を把握していると回答した一方で、実際の要望としては「安全な避難経路の確保」や「家族への安否確認」が最も重視されていました。このことは、介護施設選びにおいても重要な指標となるでしょう。
また、「避難行動要支援者名簿」の認知率はわずか20%に止まっていることも驚きの結果です。この名簿は、災害時に自力で避難が困難な人々を事前に登録し、迅速な支援を受けるための重要な制度です。
考察と今後の対策
LIFULL 介護の編集長である小菅秀樹氏は、災害時には高齢者が自力で避難することが難しいため、自宅での避難が選択肢となる場合も多いと指摘します。そのため、避難所や福祉避難所の存在を確認しておき、常に最新の情報を把握しておくことが求められます。また、緊急時の連絡手段や安否確認の方法を事前に決めておくことも重要です。
この調査は、単なるデータ収集ではなく、高齢者とその家族が今後の災害に備える手助けとなるものです。私たち一人一人が親とのコミュニケーションを取り、意識を高めることで、万が一の時にも慌てずに行動することができるでしょう。今後もLIFULL介護は、高齢者やその介護者の不安を解消するために、様々な情報を提供していきます。
調査概要
調査期間: 2025年2月18日〜2月19日
調査主体: 株式会社LIFULL senior
調査対象: 高齢者(65歳以上)の親をもつ30~50代の男女581名
調査方法: インターネット調査