宿泊業の倒産、新たな課題と明暗の分かれ目
近年、宿泊業界は厳しい状況に直面しています。特に2025年には、負債が1000万円以上の倒産件数が89件に達し、前年の78件を大きく上回る結果となりました。この2年間、倒産件数は連続して増加しており、業界全体に暗雲が漂っています。また、休廃業や解散を含めると、年間で合計267件の宿泊事業者が市場から姿を消しているのです。
高まる訪日客需要と設備投資のジレンマ
訪日客の増加が続く中で、宿泊施設は「高単価・高付加価値」を求められるようになりました。しかし、これに応えるための設備投資ができない中小の施設は淘汰の危機に陥っています。政府の支援策があるものの、実際にはその返済に苦しむ経営者も多く、人員不足や原材料費の高騰など、多様なコストに直面しています。これらの要因は、利益の確保を難しくし、事業継続が困難な状況に追い込まれています。
地方の宿泊業が直面する厳しい現実
宿泊業の倒産を地域別に見てみると、特に地方での倒産が顕著です。首都圏や京阪神、中京エリアを除く地方での倒産割合は75.3%にも達し、これは2022年以来の高水準です。インバウンド需要が十分に回復していない地方の小規模旅館やホテルでの倒産事例が目立つのは、これらのエリアが稼働率や客単価が回復しきれていない証拠と言えるでしょう。
老朽化倒産の増加
宿泊業における倒産の要因として目立つのが「老朽化」です。老朽化を理由にした事業継続の困難な状況は、近年増加傾向にあり、ここ5年間で58件が「老朽化」や「修繕」などを理由に倒産に至っています。特に創業100年に迫る老舗旅館は、設備の老朽化を解消するための資金調達が難しくなり、事業維持の道を失うケースが増えています。
さらに、地方の宿泊施設の中には、名物料理などによって顧客の支持を集め、なんとか事業再生に成功しているところもありますが、全体的には厳しい状況が続いています。
結論:宿泊業の未来は?
宿泊業は今後、ますます厳しい選別が進むと考えられます。人件費や光熱費の高騰、インバウンド客の要求に応えるための高単価市場に移行する必要性が求められています。しかし、それを可能にするための設備投資ができない中小の宿泊業者が多いことも事実です。したがって、宿泊業界の発展にはデジタル化や老朽化対策が不可欠であり、設備投資ができない部分が淘汰される傾向は続くでしょう。