精神科入院問題
2021-11-19 17:05:33
精神科入院問題を考えるオンライン講演会が開催されます
近年、日本の精神科医療について多くの問題が指摘されています。その中でも特に注目すべきは、精神科病院に入院している患者の約50%が強制入院であるという事実です。2020年度の精神保健福祉資料によると、入院者数は全体で269,476人に上り、そのうちの131,726人が強制入院の状態にあります。この実態は患者にとって大きなストレスとなり、「悲しい」「つらい」「悔しい」といった感情を抱かせる要因ともなっています。
精神科病院は、長期入院者が多くを占める傾向があり、入院している人の中には1年以上の長期にわたり病院にとどまっている人が半数以上、さらには20年以上の長期入院に甘んじている人も存在します。こうした状態は、患者の生活の質や社会的な役割、家族との関係に深刻な影響を及ぼします。退院への希望をどのように持ち続けることができるのか、考えさせられます。
また、私たちが見逃してはならないのは、患者が持つ退院や処遇改善を求める権利について知らない人が多いということです。精神医療に関する法律によって設置された「精神医療審査会」がありますが、2020年のデータによれば、年に行われる275,952件の審査の中で強制入院を見直される事例はわずか17件、退院を薦められるケースは6件という現実があります。つまり、患者の「権利」を行使するための情報提供や支援が不足しているのです。
これに対処するために、大阪精神医療人権センターは、精神科病院に入院している患者やその家族から多くの相談を受けています。「退院を望んでいるが何をしたらいいのかわからない」、「身体拘束について不安を感じている」、「入院中にスタッフから暴力を受けたのではないかと疑念を抱いている」といったさまざまな声が寄せられています。これらの問題は単独ではなく、治療文化や法制度、経済的要因などが複雑に絡み合っています。
現在、精神科医療の現実を理解し、改善を目指すための取り組みを大阪精神医療人権センターは続けています。特に精神科病院においては職員や制度の理解を深め、患者が安心して治療を受けられる環境を創造することが重要です。入院中の患者の生活をより良くするためのアクションプランや、制度改革を考える必要があるでしょう。この思想を実現するために、11月28日にはオンライン講演会が予定されています。
大阪精神医療人権センターは、当事者とその家族、医療福祉従事者、さらには市民や報道関係者に向けて本講演会を開催し、精神医療問題について一緒に考える機会を提供します。当日は、精神科医のくるみざわしん氏や、権利擁護の専門家たちが講演を行い、精神科入院の実態や、その改善に向けた具体的な取り組みについて議論される予定です。
参加希望者は事前予約が必要で、オンライン形式での開催となります。精神医療の理解を深め、権利を主張し実現するための第一歩として、この講演会への参加をお勧めします。
会社情報
- 会社名
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認定NPO法人 大阪精神医療人権センター
- 住所
- 大阪府大阪市北区西天満5-9-5谷山ビル9階
- 電話番号
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06-6313-2003