SNS上でのワクチン関連医療情報の実態調査
一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会が行った調査により、SNS上での「ワクチン」関連の医療情報引用の実態が明らかになりました。本研究は、2019年9月に開催された第11回日本ヘルスコミュニケーション学会学術集会において発表され、その結果が注目を集めています。
調査の背景
SNSでは「フェイクニュース」と呼ばれる不正確な情報が拡散されやすいと指摘されており、特にTwitterでは正確な情報よりも不正確な情報が早く、広く伝わる傾向があります。これを受け、メディカルジャーナリズム勉強会では、SNS上で注目されるワクチン関連の医療コンテンツの実態について調査を実施しました。この調査の目的は、TwitterやFacebookにおけるワクチンに関する医療情報のエンゲージメントとその質との相関を探ることです。
調査方法
調査は以下の方法で実施されました。まず、国内で定期予防接種対象とされている病気と、先行研究から抽出したキーワードを基にワクチンに関連する医療コンテンツを収集しました。次に、BuzzSumoを利用してこれらのコンテンツのタイトルとそのエンゲージメントデータを収集し、分析を行いました。また、エンゲージメント上位50コンテンツについては、そのスタンス(ワクチンに対する肯定・反対・中立)や質を判定するため、5名の評価者がメディアドクター指標を用いて評価を行いました。
調査結果
調査の結果、次のような傾向が確認されました。
1.
エンゲージメントと質の相関
- Facebookでは、エンゲージメントとコンテンツ質の間に負の相関が示されました。
- 一方、Twitterでは正の相関が見られ、特に高いエンゲージメントを示す内容が質を維持していることが示唆されました。
2.
スタンスによるエンゲージメントと質の相関
- ワクチンに対するスタンスが明確に表現されているコンテンツほど、高いエンゲージメントを得やすいことが確認されました。
この調査は、今後のSNSにおける医療情報発信の戦略を考える上で重要な知見を提供すると言えるでしょう。
結論
調査結果から、TwitterやFacebookではワクチン接種を推奨するコンテンツが高いエンゲージメントを得やすいことが確認されました。また、質の異なるコンテンツが拡散される傾向もあり、これらの要素は今後の医療健康情報の質を考慮する際に重要になります。メディカルジャーナリズム勉強会は、引き続き医療情報の信頼性向上に向けて活動を続けていきます。
今後の展望
本調査の結果は、SNSを通じた医療情報の拡散における質の向上のための重要な指針となることが期待されています。メディカルジャーナリズム勉強会では、今後もこのような調査・研究を手掛けていく方針です。さらに、多くの人々が正確な医療情報にアクセスできるよう、教育や啓発を進めていく必要があります。
詳細は下記のリンクで確認できます。
調査資料