新たに発表された『東京裏返し都心・再開発編』の内容と魅力を探る

新刊紹介：『東京裏返し都心・再開発編』

2024年12月17日、集英社新書から吉見俊哉氏の新書『東京裏返し都心・再開発編』が発売されます。この作品は、著者が過去に出版した『東京裏返し社会学的街歩きガイド』の続編であり、東京の都市再開発問題を独自の視点から掘り下げています。

都市再開発とその影響

近年、東京は「より速く、より高く、より強い」都市を目指して大規模な再開発が進行しています。著者は、渋谷駅前の再開発計画や麻布台ヒルズなどの巨大商業施設の建設、神宮外苑の樹木伐採問題に触れ、これらの計画が都市に与える影響を考察します。また、それらの背景には何があるのか、私たちがこれらをどう捉えるべきかを問いかけます。

「街歩き」の重要性

吉見氏は、都市をただの地理的な存在として捉えるのではなく、街歩きという行動を通じた「タイムトラベル」として分析しています。街を歩くことで過去の歴史や文化を再発見し、それを通じて都市の新たな側面を理解することができると訴えています。これは単なる現代的な懐古趣味ではなく、都市というテクストを批評し、東京の本質を反映させる試みです。

本書の特徴

本書の中では、「都心南部」をフィールドに選んでいます。具体的には、渋谷、麻布、六本木、赤坂などの地域を巡り、再開発が進んでいる場所とともに、その周縁に残る昔ながらの景色や都市の記憶の痕跡に焦点を当てています。著者は過去の軍施設や失われた川の存在を通じて、これらの地域がどのように変わってきたのかを探ります。