介護ロボット「aams」がもたらした変革サポート
介護業界では、少子高齢化の影響を受けており、特に人材不足が深刻な問題となっています。このような背景の中、社会福祉法人元気村グループが運営する特別養護老人ホーム「鎌ヶ谷翔裕園」は、介護ロボット「aams」を導入し、新たな試みを実施しました。この取り組みによって、介護サービスの質が向上し、職員の負担が軽減されることが期待されています。
導入プロセスと初期の取り組み
「aams」の導入は、2023年1月にスタートし、実際の運用が始まったのは同年2月です。当初、職員の一部は操作に対する理解が不十分な状況でしたが、導入後すぐに定期的な勉強会を行い、具体的な活用方法について教育を実施しました。この勉強会には、提供元の株式会社バイオシルバーの担当者も参加し、操作や機能についての指導を行いました。特に、アラート設定に関しては、利用者ごとに異なる条件を設定することが求められ、それに対応するための知識と技術を習得することが重要でした。
具体的な成果
「aams」の活用により、次のような成果が確認されました。
1.
早期の看取り対応: 心拍数の異常を示すアラートが機能し、スタッフが迅速にご家族へ報告できる体制が整いました。これにより、看取りに関する対応が大幅に向上しました。
2.
昼夜逆転の改善: 特定の利用者A様の睡眠データを活用し、日中の活動量を調整した結果、昼夜逆転が解消されました。これまでの不規則な生活からの改善は、利用者の生活の質を高める一因となっています。
3.
転倒リスクの大幅な低減: 利用者A様の転倒件数が、導入前の11件から6件に減少しました。転倒リスクの軽減は、この取り組みの大きな成果です。
4.
職員の負担軽減: リアルタイムで心拍数や呼吸数を把握することで、急変時の迅速な対応が可能になり、職員は安心して業務に取り組むことができる環境が確保されました。
課題と今後の対応策
しかし、導入にあたっていくつかの課題も見えてきました。
- - 操作の理解不足: 中には「aams」に関する知識が不足している職員もおり、さらなる教育の重要性が浮き彫りとなりました。
- - アラートの誤動作: アラートの設定不備がある場合、不要な音が鳴り続けることがあり、適切な対応が求められました。
- - 多職種連携の強化: 介護職だけでなく、看護師や相談員など、すべての職種が連携して業務を遂行する必要があります。
- - 定期点検の強化: 導入したロボットの点検体制が不十分であり、日々の点検が欠かせないと考えられています。
今後の展望
「aams」の運用によって確実な成果が得られている今、さらに利用者と職員の安心を確保するために、マニュアル作成などの取り組みを進める予定です。今後も「aams」が持つ可能性を最大限に引き出し、介護現場の効率化と利用者の生活の質の向上を図っていく方針です。
社会福祉法人元気村グループは、利用者一人ひとりの「生きがい」を追求し、感動的な介護サービスの提供を目指しています。このような先進的な取り組みが、介護業界全体の改善につながることが期待されます。