熱海市観光の新たな地平線
静岡県熱海市は、豊かな観光資源を持ち、毎年300万人が訪れる魅力的な旅行先です。しかし、昨今、インバウンド客の増加が期待される中で、平日を中心とした宿泊需要の向上が課題となっています。これを打破するために、株式会社リクルートが運営する『じゃらんリサーチセンター』は、生成AIを利用した観光DXの実証実験を行いました。
AIエージェントの実装
この実証事業は、熱海市、DMO、旅行者、観光業者の三者を結びつけ、観光データを連動させるものでした。具体的には、観光統計データや口コミ情報、Web行動データを利用し、「AIダッシュボード」と「AI検知アラート」を構築。これにより、観光事業者や市の担当者は、膨大なデータを一元的に把握し、重要な施策を効率的に策定することが可能になりました。
この取り組みの効果は明らかで、実施後に訪れる外国人客の数は前年比でおおむね約2倍に増加。特にアメリカや台湾からの訪問が多くなっています。これは、AIを使った情報の生成と発信が、旅行者のニーズに応えた結果だと言えるでしょう。
実験結果の詳細
1.
市・DMOの変化
AIを導入することで、観光データの分析業務は従来に比べて最大90分の1に削減されました。これにより、担当者はデータ分析ではなく、施策の実行や業者との対話に集中できるようになったのです。
2.
旅行者への影響
AIによる情報発信は、Googleでの検索表示回数を15.3倍に増やしました。国や地域の特性を考慮した多言語情報を発信し、旅行者が求める情報をいち早く提供することで、公式観光サイトの訪問者数も大幅に増加しました。
3.
観光事業者への支援
観光案内所の来訪者データと現場スタッフの知見を統合した「AIレポート作成ツール」が導入され、レポート作成にかかる時間も大幅に短縮。これにより情報は迅速に共有され、地域全体での情報の「共通言語」が確立されました。
今後の展望
本プロジェクトは、熱海市にとどまらず、他の観光地にも有用なモデルになることが期待されています。限られた人材でもPDCAを回す体制を整えることがポイントであり、この手法は、同様の理解を持つ地域にも適応可能です。
リクルートの担当者は、今後も持続可能な観光地域経営に向けた知見を蓄積し、各地域と協力していく意向を示しています。AIを取り入れた新しい観光の形は、熱海市の未来をより明るいものにするでしょう。
この実証の詳細は、観光庁のウェブサイトで今後紹介される予定です。