がんマーカー迅速検出
2025-11-20 14:19:50

がんマーカーを迅速に検出する小型センサの開発とその応用

がんマーカーを迅速検出する小型センサの開発



がんは、早期発見が生存率や治療成果に大きな影響を与えることが知られています。しかし、従来の方法では大型の機器や複雑な手順が求められ、多くの患者にとっては利便性が低いものでした。それに対抗する技術として、東京都立産業技術研究センター(以下、都産技研)が新たに開発したのが、がんマーカーであるHeat Shock Protein 90(HSP90)を迅速に検出可能な小型センサです。

HSP90とは?


HSP90は、細胞が正常に機能するために必要不可欠な分子シャペロンの一種で、細胞内で様々なタンパク質の折り畳みを助けます。がん細胞ではこのHSP90の活動が活発化し、がん患者の血液中には通常よりも高い濃度が見られます。この特性を利用し、HSP90は早期がん発見や治療のモニタリングにおいて重要なマーカーとして注目されています。

小型センサの開発とその利点


従来のがんマーカー測定法は、専門的な知識や高額な機器が必要で、病院での検査が必須でした。しかし、都産技研が開発した新しいセンサは、わずか8mm四方のコンパクトなサイズでありながら、高い感度を誇ります。このセンサは、HSP90を特異的に認識する分子(ペプチド)を表面に固定化し、光を使って物質の付着を検知する方式です。

この画期的なセンサは、検出限界が0.75 μg/mLに設定されており、がん患者の血中濃度(最大数百μg/mL)に対応しています。これにより、患者は自宅で簡単にこのマーカーを測定できるようになり、医療の負担軽減にもつながるでしょう。

将来への期待


今後、この技術がさらなる進展を迎えることが期待されています。手のひらサイズのデバイス化が実現すれば、より多くの人々が自宅でがんの早期発見を行えるようになります。また、治療モニタリングの簡便化も期待されており、患者のQOL(生活の質)の向上にも寄与する可能性があります。

都産技研では、この技術の社会実装を目指しており、製品化を希望する企業との共同研究を進めています。この新しいセンサが実現すれば、がん患者にとって非常に大きな助けとなることでしょう。

まとめ


がんマーカーの迅速検出が可能な小型センサは、在宅医療におけるがんの早期発見や治療モニタリングに革命をもたらす技術です。東京都立産業技術研究センターの取り組みが、医療界に新たな道を開くことを期待しています。これに関心のある方は、ぜひ東京都立産業技術研究センターにお問い合わせください。今後の発展に目が離せません。

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※論文は2025年11月13日に『Plasmonics』に掲載されます。著者は望月和人、瀧本悠貴、中川朋恵、月精智子です。論文詳細はこちら


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