2024年建設業の倒産件数が過去最高に
2024年度の建設業における倒産件数が1890件に達し、過去10年間で最も多い数値を記録しました。この現象は小規模事業者に多く見られ、業界全体が厳しい状況に直面しています。
調査結果の概要
帝国データバンクによる調査によれば、建設業の倒産は負債1000万円以上、法的整理が対象です。具体的には、職別工事が879件、総合工事が600件、設備工事が411件と、多岐にわたる工事で前年を上回る件数が報告されています。特に、職別工事と設備工事に関しては過去10年での最多記録となっています。
小規模事業者の多さ
倒産した企業の従業員数別の分析では、「10人未満」が1742件に達し、全体の92.2%を占めました。次いで「10人以上50人未満」が143件、「50人以上100人未満」が5件という結果です。このように、100人以上の企業は2年連続で倒産しなかったことから、現状は小規模事業者に大きく依存していることがわかります。
負債額別では、5000万円未満が1099件と最も多く、11年ぶりに1000件を超えたことが確認されました。この動向は中小零細業者の倒産が主な原因であることを示しています。
物価高倒産の影響
2024年に発生した建設業の倒産の中には、資材やエネルギーの価格上昇が影響したものもあり、これを「物価高倒産」と定義される250件(全体の13.2%)が報告されています。また、99件の「人手不足倒産」が確認され、マンパワー不足による影響や外注費の上昇も見受けられました。さらに、ゼロゼロ(コロナ)融資を利用後に倒産したケースも143件に上ります。
このような環境の中で、中小建設業者は木材をはじめとする品目の価格上昇や、職人不足、さらには人件費の高騰に直面し、経営が圧迫されている現実があります。
厳しい業界の状況
調査によると、建設業の価格転嫁率は43.7%と全業種平均の44.9%をわずかに下回ります。このことから、資材価格の高騰分を価格に転嫁できず、事業運営が難しい状況にある企業が多数存在することが浮き彫りになっています。同時に従業員の退職も影響し、工期が延びるなどの負のサイクルが続いています。
これからの展望として、「2025年問題」が注目されます。特に団塊の世代が75歳以上となることが予測されており、これに伴う影響も考慮しなければなりません。したがって、建設業者の倒産件数は高水準で推移し続ける可能性が高く、業界は新たな対策や方針が必要とされています。