繊研合繊賞と天然繊維特別賞の授賞式
2024年3月19日、繊維・ファッションビジネス業界に特化した専門紙「繊研新聞」を発行する繊研新聞社が、東京都中央区のロイヤルパークホテルにて「第54回繊研合繊賞」と「第10回繊研天然繊維特別賞」の贈呈式を開催しました。この賞は、1970年に始まり、化合繊業界と天然繊維業界の両方の発展を期待し、優秀な素材や技術、マーケティング活動を表彰する目的で設立されています。
受賞対象と選考プロセス
2023年度は、合繊賞が6部門から成り、11の素材や製品が受賞しました。特に注目を集めたのは、最高位のグランプリに選ばれた東レの「防水透湿テキスタイル『ダーミザクス』」です。この製品は、市場におけるブランディングや新素材開発が評価され、他の強力な競争製品を抑えて選出されました。また、初めて準グランプリも設けられ、帝人と福井経編興業の共同開発による「心・血管修復パッチ『シンフォリウム』」が栄誉を受けました。
合繊賞の選考には、提案された素材が自薦と記者推薦を受け、最終的に残った4点からグランプリが決定されました。ダーミザクスは、そのブランディング力や環境への配慮(非フッ素撥水や全てポリエステル化)などが特に高く評価され、逆に「シンフォリウム」は、先天性心疾患に挑む情熱ある製品としての側面が評価されました。
選考結果は以下の通りです。
繊研合繊賞一覧
- - グランプリ: 防水透湿テキスタイル『ダーミザクス』(東レ)
- - 準グランプリ: 心・血管修復パッチ『シンフォリウム』(帝人、福井経編興業、大阪医科薬科大学)
- - マテリアル部門賞: 植物由来ナイロン短繊維テキスタイル『ビーメックス・エコプラス』(ユニチカトレーディング)
- - テクニカル部門賞: 新世代フッ素フリー撥水素材『デューエイト』(東レ)
- - マーケティング部門賞: 人工たんぱく質素材『ブリュード・プロテイン』(スパイバー、ゴールドウイン)
- - サステイナブル部門賞: 超耐久撥水素材『ダントツ撥水』のCゼロタイプ(小松マテーレ)
- - ヒット賞: 高通気テキスタイル『ドットエア』(東レ) など
天然繊維特別賞
また、天然繊維特別賞には、6つの候補から選ばれた『ひつじサミット尾州の開催』が受賞しました。これは、羊毛産業や製品を消費者に広めるための産業観光イベントであり、地域社会の持続可能な発展に寄与しています。
選考委員の評価
選考委員会の藤浦修一委員長は、今回の授賞式を見て、近年にない豊作の年であると評価しました。彼は、特に各部門賞の受賞者が前年に続いての選出を果たしたことから、国内の繊維業界の技術力や開発力の向上を実感したと語っています。今後も、繊維メーカーやテキスタイル産地がその力量を磨き続け、厳しい環境の中でもさらなる発展を遂げることを期待しています。
繊研新聞社の役割
「繊研新聞社」は、1948年に創業し、2023年には75周年を迎えました。ファッションビジネスの情報発信に特化し、業界の発展と持続可能な社会の実現を使命としています。専門紙の発行だけでなく、展示会や人材教育、セミナーなども展開し、業界の幅広いニーズに応えています。このような取り組みが、今後の繊維業界の発展に寄与することが期待されます。