戦時版よみうりがヨミダスで再登場
読売新聞社が発行していた「戦時版よみうり」が、データベースサービス「ヨミダス」で一般に公開されることになりました。この新聞は、太平洋戦争末期の1944年から1945年にかけて発行されたもので、当時の状況や日常生活が色濃く反映されています。
厳しい時代の中での発行
「戦時版よみうり」は、1944年3月から1945年3月まで約1年間、日刊で発行されていました。その発行部数は11万部と記録されていますが、材料の不足も影響し、次第にページ数が减少していきました。最初は4ページ建てでしたが、1944年11月以降は主に2ページ建てで発行されていました。
この新聞の特色は、戦況の報道に加え、当時の勤労者、特に「生産戦士」と呼ばれた労働者に向けた情報提供にあります。記事は分かりやすくコンパクトに編集され、変化する戦局や生活情報、さらには冬用の下着の縫い方など、実用的な内容が多く盛り込まれていました。
読者の生活を支える位置づけ
「戦時版よみうり」では、工場や農山漁村の状況、疎開に関する情報など、当時の社会のあり方が記録されています。当時の生活状況や食糧事情を詳しく知ることができ、歴史研究の資料としての価値も高いものです。このように、新聞はただの情報源ではなく、勤労者たちに対するエンパワーメントのためのメディアでもあったのです。
発見までの道のり
実際、この「戦時版よみうり」は一時的に埋もれていた存在でした。1945年の空襲で多くの資料が消失し、本社に残った資料はホンの4か月分に過ぎませんでした。しかし、2020年11月に長野県の図書館に多くの号が所蔵されていることが発覚し、これが復元の契機となりました。
調査の結果、長野図書館の所蔵分と読売新聞社内に残されていた分を合わせることで、ほぼ全号が揃ったことが判明しました。その後、これら全号がデータベース化され、「ヨミダス」での閲覧が可能になったのです。
ヨミダスでの利用方法
「戦時版よみうり」は、ヨミダスを導入している一部の図書館でオプション契約をすることでアクセスが可能です。提供開始は2023年8月からとなっています。利用者は検索画面で日付やキーワードを指定して記事を探すことができますし、紙面の表示もスムーズです。
ヨミダスは、1874年からの膨大なデータを持つ読売新聞社の誇るデータベースサービスであり、これにより、約150年にわたる日本の歴史を検索できる貴重な資源となっています。
・まとめ
「戦時版よみうり」が持つ歴史的な価値は大きく、当時の人々の日常生活や戦局についての理解を深める貴重な情報源となるでしょう。歴史に興味がある方や、研究者にとっても、これらの資料は深い知見を得るための重要な手段となるはずです。これからの新たな発見に期待が寄せられます。