第55回ストアフロントコンクール:革新的なデザインが光る受賞作品発表
昭和フロント株式会社が主催する「第55回ストアフロントコンクール」の受賞作品が発表され、建築業界に大きな話題を提供しています。今回の応募総数は過去最多となる2,307件に上り、その中からグランプリを含む10作品が厳正な審査の結果選ばれました。
グランプリを受賞したのは「AICAFE VILLAGE PROJECT」
審査委員長である八木幸二氏は、この作品について「里山に建つ、少し傾いたファサードが印象的。ドームテントやキャンピングトレーラーなど様々な宿泊施設が点在する、アグリツーリズムの中心地と言えるでしょう。黒いスリムなフロント材が、建物の傾斜に沿って配置され、2階部分のガラスがまるで宝石箱のように輝いています。遠くの山々や畑を眺めることができ、自然と調和した素晴らしい空間です。」とコメントしています。1階には洗面所や浴室などの閉鎖的な空間、森側には露天風呂、畑側のテラスから2階に上がるとカフェ・レストランが広がり、キッチンスペースの上部が開いているため、森の景色も楽しめる設計となっています。
その他の受賞作品も高い評価を獲得
部門別受賞作品も、いずれも高いデザイン性と機能性を兼ね備えた作品が揃っています。
第1部店舗建築部門金賞:「トヨタカローラ福島株式会社 西中央店」
審査員からは、「シンプルな三要素(フロント壁のレリーフデザイン、サインゲート、アソートサッシのウインドガラス面)が一体となり、力強いデザインを作り出している」と評価されました。
第2部一般建築部門金賞:「秦野市農業協同組合 西支所」
木目調のルーバーの中に180枚もの太陽光パネルを設置した、環境配慮型の設計が特徴です。審査員は「木目のTEN-写ルーバーのシャープなデザインと、夜景における照明とのコントラストが美しい」とコメントしています。
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第3部リニューアル部門金賞:「くるふ福井駅」
木質のデザインと黒いスリムなフロント材を組み合わせ、サイン計画、サイネージ、照明計画と一体となったデザインが評価されました。駅コンコースや側道にも賑わいを生み出し、新たな観光スポットとして高架駅下のスペースを活性化させています。
審査委員長の総評
八木審査委員長は、応募作品全体について「フロント材が多角的に使用されており、建築の魅力的な外観とインテリアを作り出している」と総括。「窓やドアに加え、ガラリやルーバーなどを組み合わせ、建築の形態や色彩、鏡、照明、ソーラーパネルなどと調和させ、外部の緑や遠景と連携を図っている作品が多く見られた」と高く評価しています。特に、水圧転写による木目調ルーバーや、コンビニをランドリーに改築した事例などは、SDGsの観点からも注目すべき点として挙げられました。
今回のコンクールは、建築における素材の新たな可能性を示唆する、非常に意義深いものとなりました。受賞作品は、建築デザインの未来の方向性を示す指標となるでしょう。