α世代の農業体験が育む子どもたちの成長と教育効果の調査結果

体験重視の時代に農業体験がもたらす教育価値

近年、体験価値が重視される中、農業体験が子どもたちの成長に与える影響が注目されています。最近、全国約47都道府県のα世代（2010年以降生まれた15歳以下の子ども）を持つ親を対象に、農業体験とその教育効果についてJA共済連が実施した調査結果が発表されました。調査は、α世代の子どもを対象として、農業体験に対する意向や期待される効果、そして実際に体験をした際の変化などを探求したものです。調査期間は2025年10月31日から11月7日まで行われました。

α世代が農業を体験する理由

調査の結果、α世代の半数以上が直近1年以内に農業体験を行ったことが明らかになりました。具体的には56.2%が農業に触れています。さらに、親の75.7%が「子どもに農業体験をさせたい」と回答しており、農業への関心が高まりつつあることが示されています。特に、農業体験を通じて得られたポジティブなイメージとして「社会の役に立つ」という意見が91.3%と最も高く、他にも「面白そう」「楽しそう」といった感想が続いています。

農業体験がもたらす実際の効果

農業体験をした子どもたちは、「体験させて良かった」と感じている親が92.1%と高いことからも、実際の効果が顕著です。83.5%が「子どもの成長を実感」、82.2%は「達成感を経験させられた」と感じています。このように、農業体験が教育効果をもたらしていることが分かります。一方で、親の中には77.7%が「子どもができる農業体験の機会が少ない」と感じていることが明らかになり、体験機会が求められていることも事実です。

将来を見据えた農業体験

将来の職業として農業を考える子どもも増えており、農業体験をしたα世代の38.6%が「将来農業をしてみたい」と回答しました。これに応じて、親の83.4%もその意見を応援したいと回答しています。このように、親子で農業への理解が深まることが子どもたちの選択肢を広げ、自立を促進していく要素となっています。教育評論家の尾木ママ（尾木直樹氏）は、農業体験は「人間力」を育む重要な要素であると指摘しています。

農業体験のさらなる重要性

尾木ママによると、農業体験は自然との触れ合いを通じて子どもたちの自己肯定感や自立的な行動習慣を育むとしています。自然に触れる経験が「原体験」として深く根付き、持続的な成長を支えていくと考えられます。また、農業には道徳心を育む「徳育」としての側面もあり、作物を育てる中で命に対するリスペクトが生まれます。さらに、食育にもつながり、実際に嫌いだった野菜が食べられるようになるなどの変化も見られています。

親子で楽しむ農業体験

親としても、農業を通じて子どもの成長を助けることができるのは嬉しい体験です。土や作物との触れ合いを通して、家族の絆も強まります。泥だらけになって一緒に体験することで、子どもたちの成長を実感できるのは農業だけの特別な体験です。JA共済連でも地域貢献の一環として、農業体験の支援に力を入れており、全国で約5,000件の様々な体験活動が行われています。