和食調理師の力を正しく活かす求人サイトが福岡に登場

和食の魅力が高まる背景

近年、日本の和食文化は国内外で注目を集めています。2013年、ユネスコが「和食：日本人の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録したことが、大きな転機となりました。それ以来、訪日外国人にとって和食は特に魅力的な要素となっており、2024年の観光業界における訪日外国人旅行消費額は、前年比で53.4％増加し、過去最高の8兆1,395億円に達しました。この中で、飲食費は21％を占め、訪日外国人の多くが日本の和食を楽しむことを期待して訪れています。

和食調理師の重要性

このような背景において、観光業界を支えるのが和食調理師たちです。しかし、彼らの多くは技術はあるものの、実際の職場で自分に合った役割を果たせていないことが現状です。多くの調理師は、調理場での経験を重ねてきたものの、「見て覚える」文化が根強く、自己分析や言語化が苦手であるため、ミスマッチが頻繁に発生しています。

ミスマッチの具体例とは

たとえば、調理師が持つ高い技術が、既製品を中心に調理を行う職場で発揮されない、あるいはマネジメント経験がないにも関わらず、管理職に任されるなどのケースが見受けられます。また、接客やカウンター調理が得意な調理師が裏方の仕事ばかりを担うことになり、本来の得意分野を活かせない状態が続いています。

新たな求人サイト「和食調理師求人プロ」

これらの問題を解決するために、福岡市中央区舞鶴に拠点を持つ採用商店株式会社が新たに「和食調理師求人プロ」を立ち上げました。このサイトは、和食調理師に特化した求人情報を提供するもので、業界で唯一、ホテルと旅館に特化した人材紹介を行います。サービスの開始から1週間で約250件の求人が掲載されたことからも、その需要の高さが伺えます。

サイトの特徴

この求人サイトの大きな特徴は、調理師が転職を行う際に重要視する情報を詳細に提供する点にあります。具体的には、勤務先の規模や人数、既製品の使用の有無、食材原価率、寮の詳細など、求職者が必要とする情報を網羅しています。加えて、これまでの経歴を基にカスタマイズされた転職支援を行い、求職者と企業のミスマッチを減らす仕組みになっています。

調理師と丁寧に向き合う姿勢

採用商店の代表である大橋恵氏は、「調理師が自分に合った職場で力を最大限に発揮できることが、観光業界全体の労働環境や料理の品質を高める」としています。そのため、彼のチームは、一人ひとりの調理師に丁寧に向き合い、具体的な希望や経験をじっくりとヒアリングし、最適な求人を提案することを心掛けています。その結果、他社と比べて対応する調理師の人数は少ないものの、細やかなサポートを提供しています。