日本発、宇宙葬の成功
茨城県つくば市を本拠地に置く株式会社SPACE NTKが、人工衛星を利用した宇宙葬の打上げに成功しました。2024年12月21日、日本時間20:34にアメリカのカリフォルニア州から、スペースXのロケット“ファルコン9”による打上げが実施されました。このプロジェクトでは、日本人ご遺族16人分と1匹のペットのご遺骨、さらには大切なメッセージやモールス信号が搭載されたオリジナル人工衛星「MAGOKORO号第二弾」が宇宙の旅へと送り出されました。
宇宙ビジネスの新たな動き
現在、宇宙ビジネスは世界中で急速に拡大しています。2050年には31.9兆円にまで成長すると予測され、2024年には259回ものロケット打上げが予定されていますが、その大部分はアメリカの民間企業、特にスペースXが占めています。日本ではまだ7回の打上げに留まっていますが、2024年に宇宙活動法の改定が議論されることで、民間企業の参入が促進される期待が高まっています。しかし、宇宙ビジネスへは大企業が主に参入しており、その高コストからスタートアップ企業の挑戦は厳しいのが現状です。
そんな中、株式会社SPACE NTKは2017年に設立され、宇宙葬の先駆けとしての道を歩んできました。彼らが打ち上げた「MAGOKORO号第二弾」は、前回の成功を受けての2回目の挑戦です。前回の打ち上げは日本製の人工衛星であり、単独でのご遺骨搭載は世界初の試みでしたが、今回もモールス信号という新たな資格をもって宇宙に旅立つこととなりました。
葛西氏の情熱と思い
代表取締役の葛西智子氏は、幼少期に母から聞いた物語をきっかけに「人は亡くなったら星になる」との夢を持つようになりました。その情熱が世の中に広がり始めたのは、2018年の国際宇宙開発会議で自身のビジネスプランを発表した時です。宇宙SOH(R)という概念は、他社の宇宙葬と異なり、ご遺骨を全て専用のBOXに納めることができる新しい試みで、さらに星として宇宙を周回した後に流れ星となって再突入するという、美しい儀式です。
このアイデアにイーロン・マスク氏も共感し、共同で宇宙葬ビジネスを進める契約を結ぶに至りました。打上げの際、彼女は成功を確信し、故人を想う参加者たちの表情を見て「宇宙葬が新しい供養の形に進化する時が来る」と感じたそうです。
宇宙葬を体験した人々の声
打上げに立ち会ったご遺族の中には、故人が宇宙から見守ってくれていると感じることで安堵の声を上げた方もいました。「私も宇宙に行きたい」と夢を語る人や、自身のDNAが宇宙へ行ったことで誇らしげに語る人々の笑顔は、まさに宇宙SOH(R)の理念が実現されている証と言えるでしょう。人々は宇宙へ上げることで、別れの悲しみではなく、感動的な思い出を抱くことができるのです。
未来の展望
2026年春には3回目の打上げを予定しており、宇宙SOH(R)に関する講演会やイベントも接続した大手葬儀会社との提携によって行う予定です。これにより、宇宙葬がより多くの人々に理解され、愛されていくことが期待されています。
「宇宙へ旅立つことで、故人が星になり、いつでも空を見上げることができる新しい供養のかたち。宇宙ビジネスはこれからも進化し続け、私たちの人生観を変えていくことでしょう。」と葛西氏は語ります。