イエメン南部での食料不安の現状
2025年6月22日、アデン(イエメン)からの最新情報によると、イエメン南部での食料安全保障の状況は極めて深刻です。政府が支配する地域の人口のほぼ半数が急性食料不安に陥り、次にいつ食事ができるのか分からないという危機的な状況に直面しています。国連児童基金(ユニセフ)、国連食糧農業機関(FAO)、国際連合世界食糧計画(WFP)は、この問題が今後さらに悪化する可能性があるとして警鐘を鳴らしています。
最新の「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」に基づく部分更新によると、南部の各州において非常に厳しい状況が明らかになりました。2025年5月から8月までの間、約495万人がIPCフェーズ3(急性食料不安)以上の危機的な状態に直面し、その中で150万人はIPCフェーズ4の緊急事態に入る見込みです。このことは、2024年11月から2025年2月の期間と比べて、食料不安に苦しむ人が37万人も増加するという深刻な事態を示しています。
さらに、今後の見通しを考えると、2025年9月から2026年2月の間に、緊急かつ持続的な支援が行われなければ、さらに42万人がIPCフェーズ3以上の状態に陥る恐れがあります。これにより、南部地域で深刻な食料不安に直面する人々の総数は、イエメン全体の人口の半分以上の538万人に達することになります。このような背景には、長引く経済低迷や、イエメン・リヤルの下落、紛争、異常気象といった複合的な要因が存在しています。
異常気象の影響
現在の脆弱な状況に拍車をかけているのが、作付けの遅れや異常気象による自然災害です。7月に予想される洪水や、作物や家畜に影響を与える病気、特にサバクトビバッタの発生がさらに悪影響を及ぼすと懸念されています。このため、イエメンにおける食料不安はますます深刻化する可能性があります。
ユニセフと人道支援機関の取り組み
この厳しい状況に対処するために、ユニセフ及び他の人道支援機関は、人道支援活動の優先順位を見直し、リスクが高い地域に対して食料安全保障や栄養、水と衛生(WASH)、保健、保護の各分野における統合的な支援を行うことを目指しています。これにより、支援の成果を最大限に引き出し、住民の命を守ることが重要です。
また、食料不安に陥るのを防ぎ、必須サービスへのアクセスを確保するためにも、持続的かつ大規模な人道支援と生計支援が緊急に求められています。特に、農村に住む低所得世帯や国内避難民、脆弱な子どもたちが大きな影響を受けており、資金の削減や生計手段の減少が彼らを一層困難な状況に追い込んでいます。
際立つ赤字とその影響
ユニセフのイエメン事務所代表であるピーター・ホーキンスは警告します。「イエメンでは、約240万人の5歳未満の子どもと150万人の妊娠中及び授乳中の女性が急性栄養不良に苦しんでおり、病気や発達遅延、さらには死亡のリスクが高まっています」と語ります。また、IPCの栄養データは、政府支配地域の17の生計ゾーンのうち少なくとも5つで、さらなる悪化が見込まれています。
このため、ユニセフとそのパートナーは支援の拡大に向けた準備を進めており、この取り組みを継続しなければ危機を克服するのは難しいと強調しています。イエメンの食料不安の問題は、今後も注視し続けるべき深刻な課題と言えるでしょう。