深刻化するイネカメムシ被害への対策
近年、農業界で特に注目されているのが、イネカメムシの増加によるコメ生産への影響です。米価格の高騰の一因として、この害虫の被害が深刻化しており、今後の対応が急務となっています。この背景には、異常気象や農業経営の困難さがあります。そのような中で、株式会社ミライ菜園が最新の防除DXアプリ「TENRYO」の機能を強化し、個人農家向けのサービスを開始しました。
「TENRYO」とは?
TENRYOは、AIを活用して作物の病害虫発生を予測し、適切な農薬散布のタイミングを通知するアプリです。このアプリは、これまでJAや農業法人向けに提供されてきましたが、今回新たにコメの病害虫予測機能が追加され、個人農家でも利用可能になりました。
イネカメムシの脅威
イネカメムシは、稲穂の汁を吸うことで作物に深刻な影響を及ぼします。特に実らない状態や斑点米を引き起こし、コメの収量や品質に大きな損害をもたらします。今年の埼玉県では、イネカメムシの越冬個体数が前年対比43倍にも膨れ上がるなど、全国的に深刻な問題とされています。これまでの手法では、事前の発生予測が困難であり、適切なタイミングでの防除が重要視されています。
TENRYOの新機能
新たに追加された水稲の病害虫予測機能では、過去の発生データと気象条件を組み合わせ、最大6日先までのリスクを分析します。この機能により、農家はより迅速に対策を講じることができ、被害の未然防止に繋がります。また、AI技術を用いて高精度で予測されることで、年々複雑化する気象条件にも柔軟に対応可能です。
実証実験の成功
実際に、豊橋市での実証実験においては、異常気象の中でも正確に病害を予測し、農家の収量を前年比で4~15%増加させる成果を上げました。この実績から、TENRYOの信頼性が証明されています。
個人農家向けサービスの開始
今回新たに、個人農家向けに「TENRYO(個人農家版)」がリリースされ、月額990円で利用可能。さらに、圃場の病害虫の発生状況を報告することで、実質的に無料で利用できる仕組みも提供されています。農家は、TENRYOを通じて得たデータを地域のJAや自治体と連携し、全体的な防除活動に活かすことが期待されています。
まとめ
株式会社ミライ菜園が提供するTENRYOは、農業経営を助ける強力なツールです。特にイネカメムシ被害に対応するための高精度なAI病害虫予測機能は、農家にとって非常に価値があるものです。今後、全国の生産者がこのアプリを活用し、農業の生産性向上と質の改善に努めることが期待されます。ミライ菜園は、これらの取り組みを通じて日本の農業を変革し、未来の農業を支える存在となるでしょう。