交差点における安全を向上させる5G通信システムの実現
国立大学法人 京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授を中心とした研究グループが、交差点の見通し外においても、5GHz帯の電波を利用した車両間通信の基礎伝送に成功しました。この技術は、電波の回り込みが少なく、特に自動運転や自動運転支援において期待される5Gシステムの実用化に大きく貢献することでしょう。
基礎伝送の成功
交差点においては、正確な位置情報の共有が重要です。実験では、電気的に電波の反射方向を動的に制御できるインテリジェント可変電波反射板(RIS)を使用し、この反射板を通じて、5GHz帯の5G信号を効率的に伝送することに成功しました。これにより、見通し外の伝送特性が約4倍に拡大され、従来の方法に比べて圧倒的に信号の伝送効率が向上しました。
自動運転技術への影響
現在、5Gは単なる通信手段にとどまらず、多くの「モノ」がインターネットに接続され、特に自動運転においてはToyotaなどの業界大手が注目しています。車両同士、そして交通インフラとの間でデータを迅速に共有するV2X(Vehicle-to-Everything)システムは、交差点での事故を減少させるための重要な技術として位置付けられています。このシステムでは、車両が互いの位置情報や、交差点に設置されたさまざまなセンサーからの情報を共有することで、リスクを軽減する助けとなります。
新たな課題の解消
これまで、5GHz帯の電波は中継機が必要であり、その結果、信号の遅延が発生していたため、通信の信頼性に影響を与えることがありました。しかし、RISの導入によって、これらの中継機を排除し、車両間情報の伝達がより簡便に、かつ広範囲をカバーできるようになります。これにより、自動運転技術の発展とともに、安全で安心な交通環境の構築が期待されます。
今後の展望
これらの成果は、電子情報通信学会無線通信システム研究会(RCS)での発表を皮切りに、さまざまな場で紹介される予定です。例えば、5月29日に東京ビッグサイトで開催される無線通信の専門展示会「ワイヤレスジャパン」においても基調講演が行われる等、業界内でも大きな関心を集めています。
このように、京都大学の研究グループが展開する交差点に特化した車両間通信システムは、技術革新だけでなく、実際の交通安全にも寄与する模様です。さらなる研究開発によって、より安全な未来の交通環境が実現することが期待されます。
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