改正建設業法施行後の建設業の実態
2025年12月、改正建設業法が全面施行されました。この法律は、労務費の低下や原価割れ契約を禁じ、工期ダンピングを防ぐために、特に資材価格が高騰した際の契約変更のルールを明確化することを目的としています。しかし、実際の現場ではこの法律への対応にばらつきが見られるため、株式会社日本コンサルタントグループ建設産業研究所が全国の建設業者を対象に行った調査結果をもとに、今後の課題を考察します。
調査概要
この調査の対象は、全国1,300社の建設業者であり、実際に回答を得たのは95社と、回答率はわずか7.3%でした。調査は2026年の初頭に行われ、資材高騰や契約変更についての実情を把握することを目的としていました。
資材高騰と契約変更の実態
改正建設業法の施行後、資材価格が上昇した際の契約変更について「必ず行っている」との回答は34%にとどまりました。この結果は、今後の取引慣行において、法律が求める協議が実際には十分に進んでいないことを示しています。約30%の企業は「半数程度は変更できている」とし、27%が「ほとんど当初の金額で工事を行っている」とのことです。このことから、法と実務の間には依然として大きなギャップが存在していることが浮き彫りになりました。
原価割れ契約の状況
調査では「原価割れ契約」に関しても触れられています。この契約が存在することが法令違反リスクを招く可能性があるとのこと。調査によると、原価割れ契約が「時々あった」との回答が24%にのぼり、ほとんどの企業が「なかった」と応答した74%と比べ、一定数の企業がこの問題に直面していることが明らかになりました。原価割れ契約の要因は、競合や資材費、労務費、そして発注者との関係性と多岐にわたります。
労務費の見直し要請と元請企業の課題
また協力会社からの労務費見直しに関する要請は約60%の企業が受けています。しかし、元請企業は発注者への価格転嫁がうまく進まない場合が多く、自社の利益を切り詰めてまで対応している現状が浮き彫りになりました。これにより、元請企業が「供給側と発注側の板挟み」にある状況が示されました。
構造的課題と今後の展望
この調査から見る限り、改正建設業法の精神は多くの企業が認識し始めていますが、実務への定着は十分とは言えません。このため、法令に基づいた見積もりや契約ルールの明確化、できれば社内でルールを確実に実行できる体制を整えることが必要不可欠です。今後、業界内で対応できる企業とそうでない企業の二極化が進む可能性も考えられます。
調査レポートの詳細
本調査の詳細は20ページにわたるレポートにまとめられており、標準労務費への対応や材料費、工期ダンピングの状況とその背景についても詳しく分析されています。興味のある方は、レポート全文を日本コンサルタントグループのウェブサイトで確認してください。
会社概要
株式会社日本コンサルタントグループ建設産業研究所は、東京都新宿区に拠点を構えており、建設業向けの経営支援や業務改善、人材育成のサービスを提供しています。フルスケールで問題解決に取り組む同社のさらなる努力が期待されます。