ステラファーマ、革新的ながん治療薬の承認申請を発表
大阪市に本社を置くステラファーマ株式会社が、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用ホウ素薬剤「ボロファラン」(開発コード:SPM-011)の製造販売承認申請を行ったことが明らかになりました。
この薬剤は、同社にとって設立以来初の開発品目であり、ホウ素同位体濃縮技術を持つ親会社のステラケミファ株式会社との協力の下開発が進められてきました。大阪府立大学や日本医療研究開発機構などと連携することで、内外の研究機関と協業し、BNCTの医薬品化を目指して着実に進展してきたのです。さらに、2017年には厚生労働省から「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されています。
申請は、切除不可能な局所再発頭頸部癌や進行の限局性非扁平上皮癌患者を対象に行われた国内第II相試験の結果に基づいています。この薬剤は現在、いかなる国・地域でも未承認ですが、日本からの申請は世界で初めてのものであり、その実現が待たれます。
新生の治療法、BNCTとは
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、放射線治療の中でも新しいタイプのがん治療法です。この治療法は、患者にホウ素薬剤を投与し、ホウ素ががん細胞に集積した後、外部から中性子線を照射します。中性子線とホウ素(10B)が反応を起こすことで、放射線が生成され、がん細胞のみをターゲットにして破壊する仕組みです。これにより、正常な組織へのダメージを最小限に抑えることが期待されています。
ホウ素同位体濃縮技術の重要性
ホウ素の同位体には、質量数10のホウ素(10B)と質量数11のホウ素(11B)が存在しますが、10BだけがBNCTでのがん治療に使用されます。そのため、ホウ素同位体濃縮技術が必要不可欠であり、国内ではステラケミファが唯一この技術を持ち、BNCT治療に向けた革新を支えています。
頭頸部癌への新たなる希望
頭頸部癌は、顔面から鎖骨まで大きな範囲で形成される癌であり、その治療においては機能を保存することが重要とされています。特に、鼻や口、喉など生活に欠かせない器官が集中しているため、それに配慮した治療法の開発が求められています。本薬剤の承認申請は、こうした課題への一つの解答と言えるでしょう。
今後の展望
ステラファーマは、がん治療に苦しむ人々に新たな希望を届けることを目指し、関係者と協力しながらBNCTの早期実用化に向けた取り組みを強化していくとしています。この新しい治療法が実用化されることで、患者の選択肢が広がり、より多くの命が救われることが期待されています。詳細は公式サイトにて確認できます:
ステラファーマ公式サイト
BNCT用ホウ素薬剤は、研究成果最適展開支援プログラム(AMED・A-STEP)の支援を受けて開発されています。
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