eスポーツ教育の未来を語る
2024年8月6日、愛知県名古屋市で「第35回愛知・名古屋eスポーツ研究会」が開催されました。この会合は、eスポーツが正式競技として採用される「第20回アジア競技大会」を前に、地域におけるeスポーツ教育の重要性を再認識する場となりました。約50名の教育関係者や自治体関係者が集い、テーマは「eスポーツ×教育 産学におけるeスポーツ教育のアプローチについて考える」でした。
開会の挨拶:教育的価値の普及
開会の挨拶を行った一般社団法人 愛知eスポーツ連合の理事、岩田滉平氏は、最近のパリ五輪における日本人選手の活躍やeスポーツの盛り上がりについて触れました。彼は、eスポーツが一過性の現象とならず、持続的に発展するためには教育の価値を最大限に活用することが重要であると訴えました。
岩田氏は、愛知eスポーツ連合の理念である「夢をつくる」「産業を作る」「社会に応える」といった視点から、参加者に向けて、コミュニティ全体での取り組みの必要性を強調しました。
行政と現場の視点が融合:塩田氏のセッション
次に、日本eスポーツ連合の公認タイトル「リアルタイムバトル将棋」のプロe棋士で、同連合の事務局長である塩田直道氏が登壇しました。彼は、GIGAスクール構想の進捗とそのデータを用いた現状分析を行い、今後の発展への期待を語りました。
塩田氏は、「ICTは新たに追加するのではなく、教育現場に必要不可欠なもの」として取り入れるべきだと述べ、eスポーツ教育の重要性についても具体的な事例を挙げて説明しました。さらに、eスポーツ高等学院名古屋校の生徒が主導するプロジェクトも紹介されました。
自主性と主体性:八幡中学校のアプローチ
続いて、名古屋市立八幡中学校の校長、高橋幸夫氏が自身が推進する『ナゴヤスクールイノベーション』について語りました。高橋氏は、自主性と主体性の違いを具体的に説明し、八幡中学校が行っている生徒主体の活動について触れました。
「主体的に思考し表現する集団」の育成が、今後の教育にどのように寄与するかについて高橋氏は期待を寄せ、校内でのeスポーツ大会などの成功事例を挙げました。
高校とeスポーツ:岡田氏の見解
特定非営利活動法人国際教育eスポーツ連盟ネットワーク日本本部のトーナメントプロデューサー、岡田勇樹氏は、「全日本高校eスポーツ選手権」の運営について紹介しました。高校生が安心して参加できる環境作りの必要性を語り、サンプルゲームの無償提供の重要性についても触れました。
地域の未来を見据えて:大浦氏の言葉
最後に、大浦豊弘氏が地域でのeスポーツ活用事例を共有し、デジタル人材育成の重要性を強調しました。彼は、地域の学校教育を豊かにするためにはeスポーツが欠かせない役割を果たすと述べ、参加者への協力を呼びかけました。
クラフトアカデミー:未来の教育プログラム
この会議の締めくくりとして、株式会社NTPセブンスの篠田武流氏が『CRAFT ACADEMY』の開講を発表しました。この教室ではゲーム『Minecraft』を使い、子どもたちの非認知能力を育むプログラムが提供されます。ICTスキル向上の機会も設けられ、楽しく学べる環境が整っています。
まとめ
第35回愛知・名古屋eスポーツ研究会は、参加者にとってeスポーツ教育の重要性と可能性を実感する場となりました。愛知eスポーツ連合は、今後も地域の教育とeスポーツの融合を進めていく意欲を示しました。2026年に愛知・名古屋で開催されるアジア競技大会に向けて、さらなる活動が期待されます。