医学生たちの地域医療学び旅
2023年8月6日から7日にかけて、杏林大学の公認団体「統合医療研究部」に所属する医学生4人が福島県南会津町の舘岩愛輝診療所で「へき地医療見学」を実施しました。このプログラムは、へき地医療の実情を体感し、地域医療の重要性を理解することを目的としています。
この見学は、同大学の岡本博照講師が2012年にスタートさせたもので、今回は11回目の開催となります。過去には2020年から2022年までの期間が中断していましたが、今回は多くの学生たちが参加し、地域医療の重要性を学びました。
舘岩愛輝診療所の現状
南会津町には、へき地医療の支援を行う病院が1施設、診療所が6施設と限られており、毎日地域医療を提供しているのは舘岩愛輝診療所の山田仁医師のみです。この診療所までのアクセスは車で30~40分と、決して便利とは言えません。それゆえ、地域住民にとっては山田医師が頼りの綱なのです。
学生たちの感想
見学に参加した医学部3年生の服部虎太郎さんは、「医療資源が限られた中で、山田先生がどのように地域の患者を診療しているかを見られたのは貴重な体験でした」と語ります。特に印象に残ったのは、住民との信頼関係を築きながら診療を行う姿勢でした。地域の人々の生活背景や風土を深く理解することが、より良い医療を提供するためには不可欠だと強調しました。
地域医療の重要性
へき地医療は、都市部とは異なる特有の課題を抱えています。限られた医療スタッフや設備の中で、医師は発症から治療まで責任を持たなければならないのです。そのため、医学生にとって実際の診療現場を見ることは、将来の医療活動に対する視野を広げる良い機会となります。
今回の活動は、医学生たちに地域医療の現状を学ばせるだけでなく、彼らが医師としての自覚を持ち、地域のニーズに応えられる医療提供者になるためのステップとも言えるでしょう。
結論
このような「へき地医療見学」は単なる見学にとどまらず、未来の医療を担う学生たちへの貴重な教訓となります。地域医療の重要性、そしてそれが持つ連帯感や責任を理解することで、医学生がよりよい医療人として成長し、地域に貢献することが期待されます。今後もこうした取り組みが続いていくことで、多くの医学生が地域医療の現状に関心を持ち、実際の医療現場で活躍することが求められるでしょう。