肥前吉田焼の新たな挑戦と2年目の成果
佐賀県嬉野市に位置する吉田地区の肥前吉田焼は、約400年の歴史を持つ伝統工芸です。しかし、技術の継承が難しくなる中、次の100年に向けた取り組みが進行しています。特に「若手の育成と増加」が課題として挙げられており、この2年間でさまざまな施策が展開されました。
1. 肥前吉田焼ギャラリーの完成
昨年、肥前吉田焼ギャラリーがオープンしました。これは、古民家をリノベーションしたもので、若手クリエイターや海外アーティストとのコラボレーションが生まれた新しい作品が展示されます。ギャラリーでは勉強会やワークショップも開催され、肥前吉田焼の今後を考える場となる予定です。
2. 九州大学とのクリエイターコラボ
2024年度には、九州大学芸術工学部の学生との共同制作が行われました。3Dモデリングを活用した作品が多く、最終プレゼンテーションでは5案が開発決定されました。特に、嬉野に合った新しい器のデザインが注目されています。
3. 海外アーティストの滞在
肥前吉田焼では、アーティストinレジデンスプログラムも実施しています。今年度はトルコ、オランダ、フィンランドからのアーティストが参加し、当地で新たな作品を制作しました。この国際的な交流は、地域の魅力を広める重要な要素となっています。
4. 磁器x3Dプリンティングの挑戦
磁器を用いた新しいプロダクトが、メイカーコミュニティと連携して登場しました。デザインコンペティションが開催され、世界中から多くのアイデアが集まりました。受賞作品には、機能性やデザイン性が評価された作品が含まれています。
5. 新たなマーケティング部の始動
吉田地区のクリエイターたちが集まる「肥前吉田焼マーケティング部」が立ち上がりました。この部では、共に学ぶ勉強会や自主的な活動を通じて、マーケティングの強化を図ります。SNSやデジタルマーケティングにも焦点を当てた活動が展開されています。
6. SAGA DESIGN AWARD受賞
脱炭素を目指した新しい磁器「うづら」が、第一回「SAGA DESIGN AWARD」でグランプリを受賞しました。この製品は、焼成時のCO2排出量を40%削減でき、強度も向上しているため、次世代の製品として期待されています。
最後に
これらの活動を通して、肥前吉田焼は若い世代に魅力を伝え続け、新しいコラボレーションを生むことで、地域のクリエイター村を目指しています。将来的には、肥前吉田焼が新たなモノづくりの発信地となることを目指しています。興味がある方はぜひご参加ください!
肥前吉田焼産地再生チャレンジ推進協議会 窯元代表 辻諭