新宮市での木質バイオマス発電事業の新展開
フォレストエナジー株式会社が、和歌山県新宮市で新たな木質バイオマス発電所を設立しようとしていることが発表されました。これにより新宮市は、県内で初めて稼働するバイオマス発電事業を迎えることになります。新設される事業体である新宮フォレストエナジー合同会社は、2018年春に工事を開始し、2019年夏には商業運転を始める予定です。
地域の未利用資源を活用
このバイオマス発電所は、年間約2万トンの未利用木質バイオマスを供給元から集め、ウッドチップに加工して燃料にします。この工程では、紀南地域の木材を主に利用する予定となっています。発電所は、約1,800kWの電気(約3,900世帯分)と約2,800kWの熱を供給する計画です。
特に、発生した熱は乾燥機の熱源として再利用され、燃料の乾燥コストを大幅に削減する見込みです。このことで伐採したての木材も効果的に活用でき、地域の森林整備にも寄与します。地域材の流通量が増えることにより、林業関係者や素材生産会社にも経済的な好影響を与えると期待されています。
◆ 熱供給事業の今後の展望
本事業に関しては、熱供給の具体的な方針についても今後協議を続けていく予定です。このようなエネルギー循環の仕組みは、地域の持続可能な発展に貢献することでしょう。
オーストリアの技術を活用
新宮フォレストエナジー合同会社は、オーストリアのSyncraft Engineering GmbHとの提携を通じて、高効率なガス化設備を導入しています。Syncraftの設備は、発電効率29%と高く、浮遊固定層ガス化技術によって安定した良質な生成ガスを供給できるのが特徴です。この技術により、幹だけでなく枝や樹皮も無駄なく燃料として利用されます。
Syncraftの小型プラントは既にイタリアとオーストリアで4基が稼働しており、その実績もエネルギー事業への信頼性を高める要因となっています。
持続可能なエネルギーの実現へ
フォレストエナジー株式会社は、未利用木質資源を地産地消し、クリーンエネルギーを生み出すための施設運営を行っています。すでに秋田県と宮崎県で運営中の木質バイオマス発電所は安定稼働を果たしており、地域のエネルギーインフラの拡充に寄与しています。
これからも、地域の持続可能な発展に向けて、小規模でも効率的な発電技術を活用し、地域と連携しながら木質資源を最大限に活用した取り組みが期待されます。
事業会社の概要
- - 会社名: 新宮フォレストエナジー合同会社
- - 事業内容: 木質バイオマスのガス化による発電及び熱供給
- - 設立年月日: 2017年4月
プラントの詳細
- - 設備の種類: 木質バイオマスのガス化による発電及び熱供給
- - 利用するガス化設備: Syncraftの設備
- - 立地候補地: 和歌山県新宮市
- - 定格出力: 電気1,764 kW、熱2,812 kW
- - 年間燃料使用量: 約2万トン
- - 土地面積: 約8,500㎡
- - 工事予定会社: 日本コムシス株式会社
新宮市での木質バイオマス発電事業は、地域経済の貢献だけでなく、持続可能な社会の実現にもつながる大きなステップとなるでしょう。