睡眠の質と「おやすみ入れ歯」の関係
株式会社お守り入れ歯が製造する夜専用の柔らかい入れ歯型マウスピース「おやすみ入れ歯」が、2023年9月以降の一年間で製作数が約2.5倍に増加したことが報告されました。この製品は、睡眠の質向上に貢献することが期待されています。
睡眠の重要性
厚生労働省が公式に「睡眠科」を設立する方針を打ち出し、睡眠障害が国民病となりつつある現状を受けて、「おやすみ入れ歯」は注目されています。特に、睡眠時無呼吸症候群は、夜間に一時的に呼吸が止まることで、十分な酸素が身体に供給されなくなる病態です。日本人の約6人に1人がこの病気の潜在患者であり、睡眠の質が低下すると、認知症やうつ病などのリスクが高まることが確認されています。
「おやすみ入れ歯」の機能と人気の理由
「おやすみ入れ歯」は、普段使用している入れ歯を3Dスキャナーで読み取った後、3Dプリンターで製作します。弾力性のある素材が使用されており、日常的な食事には向きませんが、就寝時に使用することで、舌が落ち込みやすくなることを防ぎ、無呼吸状態を緩和することが期待されています。これにより、いびきの軽減や質の高いレム睡眠の確保が可能になります。
自社の調査によると、札幌市内の睡眠専門医の75%が「おやすみ入れ歯」を試してみたいと答えています。実際に利用した人々からは、「寝ている間の無呼吸が減少し、熟睡できるようになった」との嬉しい声が寄せられています。
利用者の体験談
「入れ歯を外して寝るのが一般的だと思っていたが、今は着けて寝ると朝の疲れが軽減された」という利用者や、「妻が私のいびきが減少したと言って喜んでいる」との声も聞こえます。多くの方が、歯磨き後に「おやすみ入れ歯」を装着し、就寝までの時間を家族と楽しむスタイルを取っています。
進化する「おやすみ入れ歯」
「おやすみ入れ歯」はもともと、災害時の備えや誤嚥性肺炎予防のために2021年に開発されたプラスチック製の予備入れ歯が起源です。就寝時の利用が多かったため、柔らかい素材の研究が進められ、2022年8月から夜専用の「おやすみ入れ歯」として提供を始めました。
代表の池田昭は、「就寝時の無呼吸改善が認知症予防にもつながる」と語り、今後も高齢者の睡眠の質向上に貢献したい考えを示しています。2024年11月3~4日に開催される日本睡眠歯科学会でも、その成果を広く発信する予定です。
「おやすみ入れ歯」の製作概要
- - 内容: 既存の入れ歯の洗浄と除菌後、3Dスキャナーでスキャンした形状データをクラウドで保管し、3Dプリンターで製作
- - 所要日数: 約7日
- - 料金: 総入れ歯10,450円、部分入れ歯17,600円(税込み・送料別)
- - 予約方法: 電話で受け付け、提携歯科医院またはオンライン診療の選択が可能
「おやすみ入れ歯」により、睡眠の質向上を目指し、多くの高齢者の健康を支える新しい形が広がっています。今後も利用者の声を踏まえた改良が期待されます。