前田建設とダイハツ、移動可能なマイクログリッド実証実験を開始

移動可能なマイクログリッドシステムの実証実験が始まる

前田建設工業株式会社とダイハツ工業株式会社は、2025年12月から2年間にわたって、茨城県取手市にあるICI総合センターで移動可能なマイクログリッドシステムの実証実験を開始します。この取り組みは、地域の電力供給の新たな形を模索するものであり、再生可能エネルギーの有効活用と災害時の電力供給の持続性を兼ね備えています。

マイクログリッドとは？

マイクログリッドは、太陽光発電や蓄電池、電気自動車などを用いて、地域単位で電力を供給し管理する小規模な電力ネットワークです。前田建設とダイハツのプロジェクトでは、太陽光発電を中心に構成され、一般的な電力網が遮断されるような災害時でも、安定した電力供給ができるように設計されています。

実証実験の目的

実証実験の目的は、以下の通りです。

- 日常的な電力のピークカットを実現し、CO2排出量の削減を目指す。
- 災害時における公共サービスの持続を可能にするために、電力供給を継続的に行う。
- 現地での太陽光発電や風力発電と結びつけて、ダイハツの電気自動車を使った移動式電源を活用する。

これまでの経緯

2050年までのカーボンニュートラルを目指す中、再生可能エネルギーの導入は急務です。前田建設は、自社で運営するICI総合センターを通じて、公共施設や住居のカーボンニュートラルを進めています。一方、ダイハツは工場や物流の脱炭素化に向けて、再生可能エネルギーの利用を模索しています。両社はこれらの課題解決に向けて共創を始め、マイクログリッドシステムによる新たなエネルギー供給の形を築くことを目指しています。

システムの特長

今回のマイクログリッドシステムは、以下の特長を持っています。
1. 多機能電力変換器SPH
- 直流機器との接続が容易でエネルギーロスを約45%削減。
- 低コスト・高効率な構成で、非常時にも持続的に電力を供給可能です。

2. 移動可能なコンテナ
- 蓄電池と電力変換器は20フィートのコンテナに収容され、被災地やイベント会場への運搬が容易です。
- 太陽光発電を通じて現地で安定した電力を供給します。

3. 電気自動車との統合
- 商用軽バンのBEVをシステムに取り入れることで、蓄電容量が増加し、非常時の電力融通も可能です。

実験内容

ICI-Camp内の体育館と食堂に、太陽光発電で生成した電力を供給し、余剰電力を蓄電池に蓄えます。昼間のピーク時における電力消費の削減効果を検証するほか、停電時にも電力供給を行い、避難所としての利用が可能であることを確認します。その後、20フィートコンテナを実際に移動し、現地での蓄電や電力供給についての検証を行います。