岡山大学(国立大学法人、岡山市北区)は、2025年8月12日に同大津島キャンパス内で研究教授と研究准教授の授与式を行いました。学長の那須保友氏が任命状を授与し、その後、任命された研究者たちの業績が紹介されました。
新たな研究のリーダーシップ
今回の式典では、学術研究院環境生命自然科学学域の茶谷悠平准教授が「研究教授」として選ばれ、また谷岡真樹講師、定平卓也助教、川合智子助教の三名が「研究准教授」として任命されました。それぞれが進める研究は、学術的な価値が高いだけでなく、社会への影響も大きいものです。
研究教授:茶谷悠平の挑戦
茶谷教授の研究は、DNAではなくタンパク質のアミノ酸配列を用いた新しい遺伝情報の解読に向けたものです。彼は、リボソームの異常を引き起こす特殊な配列に対し、特異的に作用する新規翻訳促進因子の開発を目指しています。この技術が実現できれば、遺伝子機能を制御し、効率的なタンパク質生産が可能となることで、従来の技術では難しい各種の社会問題解決に寄与することが期待されます。
難治性頻尿に挑む:定平卓也
定平准教授は、難治性頻尿および夜間頻尿の改善に向けた研究開発に注力しています。内視鏡を使用し、膀胱三角部への薬剤塗布を行うETA頻尿治療が注目を集めており、特に異常感覚を伴う知覚過敏を取り除く治療法が期待されています。この新たな治療法は岡山大学の独自技術であり、その社会実装に向けた取り組みが続けられます。
乳がん治療の未来:谷岡真樹
谷岡准教授の研究は、乳がん治療に役立つバイオマーカー探しです。“説明可能な”深層学習モデルを用いて、CDK4/6阻害薬のバイオマーカーを特定することを目指しています。がん細胞の種類や状態によって治療効果が異なっているため、この研究が進展すれば、患者ごとの最適な治療法選択が可能になるでしょう。
生殖医療の進化:川合智子
川合准教授は、生殖医療の発展に寄与するため、生体内環境や生活習慣が生殖細胞に与える影響の研究を行っています。物理的環境を模倣した培養システムを用い、その影響とそのメカニズムを解明することを目指しています。この研究は、早期発見や予防治療に向けた知見を提供するものであり、臨床への応用が期待されています。
未来への期待
岡山大学は、地域の中核機関としての役割を果たすため、若手研究者の育成と研究の質向上を進めています。今回の任命を通じて、岡山大学がさらなる研究の発展を遂げることを期待しています。