フィリピン初の看護師誕生
フィリピンで長年にわたり教育支援を続けているNPO法人DAREDEMO HEROのもとで、初の看護師が誕生しました。この成果は、厳しい経済状況の中でも、持続的な支援が人々の未来を切り開く力になることを示しています。
支援の背景と成果
NPO法人DAREDEMO HEROは、内山順子代表理事のもと、フィリピンの貧困層の子どもたちに向けて教育の機会を提供してきました。新たに誕生した看護師は、長期間にわたる教育支援を受け、必要な資格を取得しました。彼女は、経済的な理由で専門教育を受けたくても受けられなかった環境で育ちましたが、DAREDEMO HEROの助けを得て、医療の現場で活躍することができるようになりました。さらに、彼女は将来的に医師になることを目指して学びを続けるとのことです。
医師への道のりの厳しさ
看護師としての資格を得た彼女ですが、医師になるためには長い道のりが待っています。フィリピンにおいては、医学部に入るためには、まず大学で学士号を取得し、その後に4年間の医学部課程を経て、インターンや国家試験を受ける必要があります。このプロセスには、10年以上の学習と研修が求められます。
特にフィリピンでは、高額の学費が最大の障壁として存在しています。私立の医学部に進学するためには、学費だけで約120万ペソ、生活費や教材費を含めると、必要な金額は210万〜220万ペソ(約500万円)にも及ぶことがあります。しかし、一方で一般的な労働者の4年間の収入は約60万ペソ(約140万円)程度にとどまります。つまり、努力や意欲では解決できない問題がここにあるのです。
医療現場への影響
このような経済的ハードルは、医師を目指す個人だけでなく、ひいては医療を受ける側にも重大な影響を与えています。フィリピンでは、多くの医療機関が民間に集中しており、全人口の約3割にしか使用できないという現実があります。公的な医療機関は設備や人材が不足しており、特に地方や農村部では1人の医師が数万人の住民を診る必要がある場合もあります。この不均衡によって、様々な要因で適切な医療を受けられない命が存在することは、深刻な問題です。
看護師の誕生がもたらす希望
今回、彼女が看護師として誕生したことは、単なる個人の成功にとどまらず、DAREDEMO HEROが目指す長期的な支援の形そのものです。彼女の夢、すなわち医師になるという目標への道は依然として険しいですが、看護師として働きながら次のチャンスを待つ選択をしました。この姿勢は、現実を受け入れつつも、夢を追い続ける力強さを示しています。
DAREDEMO HEROの限界とこれから
しかし、DAREDEMO HEROが支えられる範囲には限界があります。医師になるための支援は、社会全体が協力して行うべき投資であることは明白です。この機会を生かし、企業や個人からの継続的な支援が新たな可能性を生む起爆剤となります。
この取り組みは「かわいそうな子どもを助ける」といった安易なものではありません。彼らに公平な機会を与え、社会構造そのものを改善していくための挑戦です。DAREDEMO HEROは今後も、医療の必要性を理解し、受けた支援を次世代に繋げる人材を育成するため、活動を続けていきます。
私たち全員が、なぜ生まれた土地や環境によって未来が狭められるのかを考え、行動に移す時なのです。