痛快で新たな思想史！『シン・アナキズム世直し思想家列伝』の魅力とは

聖なるアナキズムの旅へようこそ

政治思想学の舞台に新たな風を吹き込む重田園江の最新作、NHKブックス『シン・アナキズム世直し思想家列伝』が7月25日に発売されました。この本は、アナキズムとは何かを簡潔に、かつ魅力的に解説する新しい入門書です。

アナキズムの先入観を覆す

通常、アナキズムという言葉からは「無秩序」や「破壊」、さらには「テロ」といったネガティブなイメージが連想されがちです。しかし、重田のこの新刊はその常識を覆し、アナキズムが実は「手持ちの資源で、日常生活から、少しずつ変える」実践可能な思想であることを示します。

重田園江のユニークな語り

著者は、平易で親しみやすい文章で読者を引き込み、複雑な思想をわかりやすく伝えています。彼の独特なスタイルは多くのファンを魅了し、その魅力は本書全体に感じられます。彼自身がアナキズムの持つ可能性を信じており、それが読む側にも伝わります。

誰でも始められる思想

本書では、アナキズムの考えが現代社会の多様な問題にどう取り組むことができるのかが多角的に紹介されています。たとえば、都市計画の権威者であるJ・ジェイコブズや、グローバリズムにつながる問題に立ち向かうV・シヴァといった実在のアナキストたちの生き方が取り上げられています。これにより、アナキズムは単なる思想ではなく、日常生活の中で実践できる積極的なアプローチであることが伝わります。

5人のアナキストに学ぶ

本書は、アナキズムの思想を体現する5人の重要人物に光を当て、その共通点や彼らの影響力を詳しく探ります。以下の章立てで構成されています：
1. J・ジェイコブズ - 都市に住む中での開発計画との対話
2. V・シヴァ - グローバリズムへの挑戦
3. 森政稔 - 猫と戯れる中でのアナキズムの新しいイメージ形成
4. K・ポランニー - 資本主義に対するラディカルな批判
5. D・グレーバー - 自由な精神で常識を覆す

これらの思想家たちの生き様は、単なる歴史の一部ではなく、現在の私たちが直面する課題への明確な答えを示しています。特に、D・グレーバーの章は本書の中で半分以上を占めており、彼の思想に初めて触れる入門編としても価値があります。彼のユニークな見解や批判を通じて、現代の根本的な問題に光を当てています。