シニア社員のキャリア支援に関する調査結果報告
一般社団法人プロティアン・キャリア協会が、シニア社員のキャリアに関連する施策についてのアンケート調査を実施しました。この調査は、高年齢者雇用安定法の改正があった2021年4月以降、企業の人事施策がどのように変化しているかを把握する目的で行われました。
調査の背景
調査対象は74社の人事部門の担当者で、シニア社員の活用についての現状や取り組み方を探ります。シニア社員に対するキャリア支援の必要性が高まる中、企業がどのような施策を講じているかが注目されます。
調査の主な結果
1.
早期退職制度と定年再雇用制度:38%の企業が早期退職制度を導入し、85%が定年後の再雇用制度を採用しています。このため、シニア人材を組織内で積極的に活用する土壌が整っています。
2.
定年年齢の延長:60歳の定年が一般的な中、22%の企業が65歳に延長しており、70歳までの就業機会を確保している企業も24%に達しています。
3.
キャリア支援の実施状況:52%の企業がシニア向けのキャリア研修を実施し、58%がキャリアコンサルタントを導入しています。特に製造業(63%)、金融業(67%)においてその傾向が顕著です。
シニア人材の活用状況
調査結果から見えてくるのは、多くの企業がシニア人材の経験や専門知識を高く評価しているということです。特に、シニア社員のキャリア支援に関しては、個人の成長と組織の利益を両立させる重要性が増しています。たとえば、シニアインターンシップ制度や地域貢献活動のマッチング制度など、シニア社員がその経験を他の世代やコミュニティに還元する機会も広がっています。
業種別の特徴
調査によると、特に製造業が70歳までの就業機会の確保に積極的であり、また金融業はキャリアコンサルタントの活用に注力しています。技術革新が進むこれらの業界では、従業員のスキルアップやキャリアチェンジが常に求められ、多様なキャリア支援の枠組みが必要とされています。
企業の取り組み方
調査対象企業の85%が早期退職制度と再雇用制度を併存させており、柔軟な人材戦略を展開しています。また、キャリア研修を実施している企業には、再就職支援制度も充実している傾向が見られます。
このように、シニア社員のキャリア支援は、企業の経営戦略との整合性が求められています。各企業は、社員一人ひとりのキャリア目標を尊重しつつ、組織全体の利益を追求する姿勢が求められるでしょう。
今後の展望
日本では労働力不足が深刻な問題となってきており、シニア人材の活用は企業の重要な課題です。今後さらにシニア社員の経験や知識を活かせる環境を整えることが求められ、新しい形の労働契約や働き方の提案が期待されます。
本調査の詳細データは、
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