2023年2月19日、実力派作家の額賀澪による最新作『願わくば海の底で』が刊行され、全国の中高生や学校関係者から絶賛のコメントが寄せられています。本作品は東北地方の高校を舞台に、そこで繰り広げられる小さな謎を描いた連作短編集であり、物語の語り手が毎回異なる特徴があります。
物語全体の中心には「菅原晋也」という青年がいます。彼は大切なものを失くすことに悩んでいるものの、明るく飄々とした日々を送っています。しかし、2011年3月11日、東日本大震災によって彼は姿を消してしまいます。この本は、その悲劇と向き合う物語であり、読者に薄れゆく記憶を呼び起こさせ、人々が大切に思うことの意味を考えさせる内容となっています。
先行して作品を読んだ学校関係者の間からは、「こんなにも切なく優しい震災の小説を読んだことがない」といった感想が寄せられました。ある中学校の図書担当者は、本作が震災の記憶のない若い世代にこそ読まれるべきであり、今なお海の底で眠る人々を忘れずに思いを馳せてほしいと訴えています。
また、他の学校や書店員からも多くの感想が集まり、多様な視点からの評価が見受けられます。ある高校生は、賠償や弔いの意味について深く考えさせられ、この本が読者の祈りを肯定してくれると感じたと言います。
今回の作品は、額賀澪の特有のスタイルでありながら、震災というテーマに真摯に向き合った内容でもあります。彼の作品には、人間の心理を描く洞察力と、間接的に語ることで引き出される共感が潜んでいます。
書籍『願わくば海の底で』は、四六判で220ページ、ISBNは978-4-488-02920-3。価格は1,760円(税込)で、装画はカチナツミ、装幀は岡本歌織氏によるものです。作品の詳細や書店員の感想は、WEB東京創元社マガジンでも紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください。
最終話を通じて、登場人物たちが人間の複雑な感情やさまざまな状況に対処していく様子が描かれ、読者は彼らの心情に触れることで自分自身を見つめ直す良い機会となります。また、多くの人々が三月の悲劇を受け止める際に、この本は大切な指針となるでしょう。
2011年の“あの日”に思いを馳せるこの季節に、多くの読者の心を震わせるであろう『願わくば海の底で』に、ぜひご注目ください。これからも、額賀澪氏の新たな作品に期待が膨らみます。彼は今後も青春小説やさまざまなテーマで多くの人々の心に響く作品を生み出し続けることでしょう。