日本化薬株式会社は、国土交通省の荒川下流河川事務所と連携し、同社が開発したドローン用安全装置「フロートパラシュートシステム」の実証実験を荒川で実施し、その有効性を確認しました。
フロートパラシュートシステムとは?
この装置は、水上を飛行するドローンに特化した安全装置で、フロート機能とパラシュート機能を組み合わせて構成されています。水上での飛行中に発生する緊急事態に備えることが可能です。万が一ドローンが水に墜落したとしても、パラシュートが衝撃を和らげ、フロートが浮揚させることで、機体の回収をサポートします。
検証の背景
近年、ドローンを用いた配送サービスが注目されており、特に河川の利用が期待されています。河川は通常、地上に障害物や上空に構造物が少ないため、ドローン物流の実施地点としては理想的です。しかし、その一方でドローンの不具合による落下や、水面に墜落した際の部品回収が難しいという課題も存在します。そこで、当社はこれらの課題に対応する手段として、フロートパラシュートシステムを開発しました。
実証実験の概要
実験では、物件投下用のドローンを使用して、フロートパラシュートシステムを搭載した機体のモックを高さ50mから荒川に投下しました。次に、システムが正常に作動し、フロート部分が水面に浮かぶかどうかを確認しました。そして、浮いているフロートパラシュートを回収できるかを検証しました。
実験結果
投下された機体モックは、パラシュートが問題なく展開し、降下速度を減速させて水面に着水しました。その後、パラシュートにより保持された空気がフロートに入ることで、浮揚状態が保たれました。流れに影響されながらも、十分な浮力を保持したまま、機体の回収も成功しました。
ドローンモックを回収した際には、機体フレームや部品に損傷が見られないことが確認されました。このことから、水面直撃による影響が軽減されることが証明され、今後の安全性確保に貢献できると考えられます。また、データロガーによる測定では、安全装置が作動してからフロートパラシュートが開くまでの距離が約20mであることが示されており、高さ30m以上からの飛行でも同様の効果が期待できるとされています。
日本化薬の企業概要
日本化薬は1916年に設立され、産業用火薬メーカーとしてスタートしましたが、長い歴史の中で化学製品や医薬品など多岐にわたる製品を展開しています。現在も、火薬、染料、医薬、樹脂などの分野で技術を融合させ、新たな製品や技術を提供し続けています。今後も、お客様の生活を豊かにする商品を生み出していく所存です。
お問い合わせ先
日本化薬株式会社テクノロジー統括エアロ事業推進部マーケティンググループ(TEL:079-264-4971、メール:
[email protected])
このフロートパラシュートシステムが、今後のドローン物流の更なる普及に寄与することが期待されます。