近年、起業活動が盛んになる中、その環境を守るための取り組みが必要です。非営利株式会社ピロウ(代表:江連千佳)が実施した調査によって、起業・経営支援イベントでは性被害への対策がいかに進んでいないかが浮き彫りになりました。調査結果によれば、70%の運営者が性被害対策を実施しておらず、実際に対策を講じていると回答する催しはわずか30%でした。これは、特に起業家の女性たちにとって深刻な問題です。
この調査は、2024年10月から11月にかけて、起業・経営支援に関連するイベントを運営する法人の事業担当者33名に対して行われました。調査の結果、性被害対策としてガイドラインや相談窓口が設けられているのは、全体の2割以下で、イベントへの参加者に対して公開できる形で対策が行われているのは、わずか3割程度という結果が出ました。これらのデータは、現状の危機感と意識の不足を示しており、多くの運営者がこの問題を十分に認識できていない状況が伺えます。
さらに、調査ではシステム的な問題も明らかになりました。
要因として挙げられたのは、まず「当事者意識の不足」です。これにより、性被害問題が優先順位の低いものとなってしまう傾向があります。また「村意識」によるリスクの認知不足も大きく影響しており、コミュニティ内部での問題提起ができにくい環境が影響しているようです。最後に、相談窓口への誘導が不十分なために、再発防止が困難であるという指摘もありました。
こうした事態を受けて、非営利株式会社ピロウは、2025年3月に開催予定の「IMPACT SHIFT 2025」にて、性被害予防に向けた様々な取り組みを行うことを発表しました。このカンファレンスでは、性被害予防に関するガイドラインの構築や、実際の持ち場で運営者への研修を行い、必要な情報を広めることで、業界全体の意識改革を図ろうとしています。
特に注目すべきは、すべての参加者に向けた「NOハラスメント宣言」を作成し、発表することです。この宣言は、性被害のない、安心して参加できる環境をつくるための基盤となるでしょう。また、このガイドラインはクリエイティブ・コモンズとして共有し、全国の起業・経営支援イベントに広める予定です。
IMPACT SHIFTの代表理事である河合将樹氏は、この取り組みを通じて、イノベーションを生むためにはフェアな環境が必要不可欠であるとのメッセージを発信しています。彼は、性被害問題の深刻さを認識し、すべての人が自分の立場を意識して行動することの重要性を強調しています。
女性たちが安心して起業できる環境を整えるためには、社会全体での包括的なアプローチが求められます。非営利株式会社ピロウの活動やIMPACT SHIFTのカンファレンスが、性被害のない未来を実現する一助となることが期待されます。
これからますます重要性を増す起業環境の中で、性被害への適切な対策を講じることは、全ての参加者が安心して自分の夢を追い求めるための根本的な課題です。変革は一歩ずつ進められなければなりませんが、皆が協力し合うことで、この問題を乗り越える未来が待っていることでしょう。